人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

フレームワークを持つ

マネジメント系ということで引き続きこんな本を読む。

 

5W1Hの説明は不要だと思う。

マネジメントにおいて、管理者側が5W1Hを活かした問いを立てて成果を出していこうという趣旨である。

 

「君はどうしたい?」「どう思ってるの?」で会話が固まった経験は多くのマネジャーが持っているだろう。

「なぜ?」「どうして?」を繰り返し、半ば申し訳ないと自覚しつつも部下を追い込んだ経験もあるに違いない。

 

そういう意味では、5W1Hを使っていないマネジャーはいないと思うが、効果的に使いこなす方向性を示しているのが本書。

5W1Hをまんべんなく使う方法もあるし、それぞれに視野を広げる問いの立て方というのも示されている。

 

目指しているのは、部下が自ら考え、成長をするようなパワフルな質問。

パワフルな問いを投げ掛けられると、ときに人生が変わるほどのインパクトがある。

 

5W1Hを切り口に、それをフレームワークとして、いろいろな問いを投げ掛け、そして問いの反応としての深い思考を行う。

フレームワークの良さは、それによって思考のレベルが上がることなんだよね。

 

本書のメソッドを使いこなすのは高難度だと感じたが、フレームワークを持つことの強みを再認識した次第。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

命令するのは簡単だが

こんな本を読む。

 

Kindle日替りセールでレビューが高かったので購入。

タイトルでは「作り方」となっているが、実録記・回顧録のような仕立て。

 

7つの習慣」のコヴィー博士の名前が帯にあり、同書ののテイストは少し入っている(著者が勉強していたことによる)が、多くはない。

軍隊というのは上意下達でなければ困る組織なわけだけれども、その中でボトムアップ的なマネジメントを試行錯誤し、海軍内で高い評価と部下の育成を獲得したのだから、どんな風に取り組んできたのかは興味津々ではあった。

 

なかなか簡単には行かなかったようだが、相手の名前と自分の名前を名乗って挨拶するところから、みたいな感じが微笑ましい。

「我々は何者なのか」というビジョンを皆で考えるところ、問題解決の真因を議論して具体的なアクションとして改善につなげていくところなど、組織人としてなるほどと思うことはあると思う。

 

ちょっとした変化を積み重ねて、気がついたら優秀な潜水艦になってしまっているので、物語として捉えると結構あっさりなのだが、まぁそこはそれ、小説を読んでいるわけではないので・・・。

なんでボトムアップのマネジメントをやろうとしたのか、そのモチベーションの元は、離職率が高く問題の多い現場をなんとかしたいというビジネスパーソンとしての誠実さだったり、部下に成長してもらいたいというヒューマニティだったり、というのはあったのだと思う。

 

しかし、著者も述べているが、何でも艦長が命令するのは簡単(というほどでもないが)だけれども、艦長が間違った判断を下したらみんな死ぬんだぜ、それって困るだろ、という現実的なスタンス。

刻々と変化する状況で、(潜水艦なので)視界もなく、極限状態の中で正しい判断を下していく為には、それぞれが能力を100%発揮すべきでしょう、ということである。

 

一番賢いやつが組織を引っ張っていく時代は終わったということではあるよね。

そんなことを考えさせられる一冊であった。

 

まぁ、ご参考ということで。

足りないくらいが丁度いい

大学時代からの腐れ縁とでもいうべき友人は、年に数回会うと、その別れ際に時々「足りないくらいが丁度いい」と言って去っていったことがある。

「なんて可愛い事言うやつだ(オッサンだけど)」と思ったりもするが、なるほど悪くないプロトコルというか、人生訓というか、ポリシーである。

 

人間、お腹いっぱい食べると太る。

だから腹八分という言葉(戒め?)があるのだが、それはまさに「足りないくらいが丁度いい」。

 

お酒も大抵、気がついたときにはもう飲み過ぎなので、「足りないくらいが丁度いい」。

レーニングも、オーバーワークは身体に悪いし、その辛さが長期的にはモチベーションダウンになると思うので、やっぱり「足りないくらいが丁度いい」。

 

人間関係もベタベタしすぎると揉め事も起きがちなので、家族や恋人でもなければ「足りないくらいが丁度いい」。

仕事もまぁ、何十年も続けるものだし、沢山働かなきゃいけないタイミングは放っておいても向こうからやってくるので、それを考えるとまぁ「足りないくらいが丁度いい」(笑)。

 

やり過ぎて嫌いになってしまっては勿体無いんだよ、何事も。

だからまぁ、「足りないくらいが丁度いい」。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

いい奴の人生は面白い

企業経営本の続きで、レビューの高かった本書を読む。

 

単純に読み物として非常に面白かった。

一人の普通の若者が、努力と運を通じて世界ナンバーワン企業のトップに上り詰めていくのだから、面白くないわけがない。

 

よく存じ上げなかったのだが、この人はヘッドハントされてステップアップしてきたわけではなく、新卒で下働きとしてABCテレビに入社し、結果的にディズニーに買収され、CEOになるという意味では、新卒プロパー叩き上げ(?)である。

冒頭、長年携わってきた上海ディズニーのオープン前日に、思いもよらないトラブルに巻き込まれるところから始まる。

 

そのエピソードでまず著者の人柄にグッと引き込まれる。

そして、若き日の苦労から物語がスタートし、さまざまな出会いを通じて成長していく様が描かれていく。

 

クオリティ・卓越さへの追求。

何よりも誠実であること。

 

未来を示し、それに向けた努力をすること。

「10の原則」がなんだったか、いちいち憶えてはいないが(笑)、「やっぱりそうだよなぁ」と感じられるいい物語である。

 

夏休みに読書に是非。

まぁ、ご参考ということで。

 

教えるということ

この一年ほど、ボクシングの練習をしている。

昔から目が悪かったので、ちゃんと取り組む機会はなかったのだが、一度はやっておきたいと思い、フィットネスジムではあるが、元プロボクサーがボクシングのプログラムで運営しているジムに通っている。

 

一通りのパンチやディフェンスの技術を教わった後は、基本各自の自由に任されていて、ミット打ちの時にフィードバックを貰うくらい。

それでまぁジムとしては良いのだが、こちらの探究心は納まらないので色々調べることになる。

 

何か新しいことを学ぶ経験を通じて、合気道の道場運営の参考にもなればと思っていたこともあり、調べるツールは今時のYouTube

最初はイギリス人YouTuberのトレーナーを見て練習し、次はアメリカ人YouTuberトレーナー、過去現在の世界チャンピオンの動画を見倒して、いまはある日本人トレーナーのチャンネルをひたすら見ている。

 

ボクシングのテクニックって、本で読んでもそれまでのYouTuberの動画を見ても、そんなにバリエーションはないのだ。

ヨーロッパ、アメリカ、キューバとか、ちょっとずつテイストは違うけれど、パッと見て「ふーん、そんな練習もあるのね」というくらい。

 

しかしいま、ハマっているトレーナーはちょっと違う。

細かいテクニックも含めて、コンテンツが山ほどあるのだ。

 

ディフェンスがよりうまくなるためのテクニック。

いざスパーリングとなったときに、どのような戦術で臨むのか。

 

どうしても力みが取れない場合はどうするか。

攻撃した後すぐに反撃されてしまうがどうしたら良いか。

 

そんな、一通りできるようになった後、みんな引っかかるであろうことを丁寧に丁寧に解説している。

もう何十本も見ているが、感じるのはトレーナー自身が選手として、トレーナーとして指導する中で、いろいろな試行錯誤を繰り返し、悩み努力して出てきたものなんだろうなということ。

 

言われたことをしっかりやって、それなりに工夫しつつもチャンピオンまで駆け上がってしまうような才能のある人は、逆に語れることがあまりない。

亡き師匠も、目的意識を持って稽古を続けた人間だけが名人・達人になれると教えてくれた。

 

ちゃんと考えて試行錯誤する。

悩み、苦しみ努力する。

 

悩み、苦しんでいる人に寄り添い、手を差し伸べ、共に考える。

そこまでできて、良い指導者と言えるのかもしれない。

 

そして寄り添えるかどうかというのは、能力だけの問題ではなく、態度や姿勢の問題だったりすると思う。

身が引き締まる思い。

 

まぁ、ご参考ということで。

セオリーから脱線する誘惑

こんな本を読む。

 

ランチェスター戦略の本はもう何冊読んだか。

小山昇氏の本も何冊か読んでいるのだが。

 

ま、結局のところ日替りセールでポチってしまったんだけどね。

本書では、ランチェスター戦略を、体系的にというよりは、小山氏自身や経営指導した会社での事例を中心に解説している。

 

そういう意味では非常に分かりやすいし、理屈を現実に落とし込む際の迷いが減りそうな印象を持った。

それにしても、である。

 

ランチェスター戦略自体、有効性は世界中で証明されているし、取り組んでそれなりの成果を多くの人々が出していて、その蓄積も書籍含めて沢山ある。

その割には、企業社会全般で真面目に取り組む人があまりいないなぁという印象を持つ。

 

なんだろう、経営とか営業とか、直接「競争」に関わる仕事をしている人が少ないからなのか。

仕事は考えて工夫するものではなくて、言われたことをするもの、という人が多いからだろうか。

 

それはあると思う。

しかし、合気道やボクシングでいろいろ見てきて、素直にセオリーを学び、身につけようという人は、実は多くないからだ、という風にも感じる。

 

金払ってまで習いにきてるのに、なんで言われた通りにやるのが嫌なの?と思うことは少なくない。

きっとどこかで、自分の思う通りにやりたい、という欲求が勝つのだろうし、それ以前に、言われたことを正確に再現する(言われた通りにやる)ということ自体が、きっと難易度が高いんだろうなと。

 

難易度が高い、真似るという取り組みに対するストレスから逃れるべく、自分の思う通りにやる誘惑に負けてしまう。

この辺、人間心理・真理なんだろうなぁ、なんていうことを、本書を読んで考えた。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

値下げが一番簡単だが

こんな本を読む。

 

坂本先生といえば「日本で一番大切にしたい会社」。

おじさんサラリーマン感涙のシリーズ(もう7巻くらいあるらしい)。

 

本書では、価格競争から脱した中小企業の事例が多数紹介されているのだが、坂本先生のテイストなので「日本で一番大切にしたい会社」に取り上げられていそうな、お客さんも社員も地域も大切にしているような会社が多数登場する。

「日本で一番大切にしたい会社」のテイストがお好きじゃない人もいるかもしれないので、一応お断りしておく。

 

「価格競争ではなく非価格競争競争」をテーマにしていくのだが、はて価格以外で勝負するとなると、何で勝負するのか。

どうだろう、簡単ではないと思うのだが、裏を返すと、初めてここで競争戦略を考え出すのではないか。

 

「ナンバーワン企業の法則」であれば、オペレーショナルエクセレンス、プロダクト、カスタマーインティマシー。

つまり、簡便さ、製品、顧客密着のどれかで差別化することになる。

 

考えることも簡単ではないが、その差別化を現実のルールやオペレーションに落とし込む大変さを想像すると気が遠くなる(苦笑)。

でも、それをやるからこそ戦えるんだよね、実際。

 

本書にはメーカーもあればサービス業も請負業もあって、いろんな企業に所属する人に広く役立つ内容になっているが、逆に「ウチは特殊な業界だから」という言い訳を許さない作りにも。

「非価格競争」こそ真の戦略、よく考えてみたい。

 

まぁ、ご参考ということで。