小説続きで以前も読んだことがある作者の短編集を手に取る。
原田マハ氏は多作だけれども、美術館のキュレーターだったこともあり、芸術作品をテーマにした作品がいくつかある。
本書もその中の一冊で、MoMA(ニューヨーク近代美術館)を舞台にした、時代も登場人物も異なる短編集。
ミステリアスなものも無いではないが、群像劇といった面持ちのストーリー。
読後感はとても良かった。
それぞれの登場人物の人生、仕事。
その中で心が動く瞬間。
芸術作品を切り口にしているけれども、芸術作品そのものではなく、その周辺を流れる人間模様、世界と自分自身の変化、その中で心が動く瞬間を切り取ったと言っていいと思う。
そういう意味では、お仕事小説だったりもする。
芸術を扱っているから芸術作品なのではなく、そんな心が動く瞬間を捉えているから芸術なんだな。
だとすれば、すべての仕事が芸術と言ってもいいし、逆に心が動かない仕事は何も楽しくない、ただの作業でもあるとも言える。
なーんてことを考えたりするのでした。
読んでよかった。
まぁ、ご参考ということで。