積読在庫から引っ張り出す。
小説を立て続けに読む。
伊坂幸太郎氏の著作は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」に続く二冊目。
そうだった、以前買って持っていたのだ。
なんで買ったのか。
会社のメンバーと1 on 1で雑談も含めた会話をする中で、「どんな本を読むのか」と聞いた際に出てきた一冊である。
「へー、これか」とスマホでAmazonの画面を示し、ポチったような記憶がある。
それが一年ちょっと前。
そのメンバーとはそのあと本の話題にはならず、しばらくして退職してしまった。
さっさとその本を読んで、次の1 on 1の時に話題にしていれば退職しなかったのでは、なんてことは思わない。
そのメンバーもあまり本を読む感じでもなく、親子といってもおかしくないほど年齢が離れた上司との雑談の中で、無理やり捻り出した一冊のような気がしたのだ。
で、今更読んで思う。
普通に面白い小説、読ませる構成だと思うが、若い彼女はこれの何が良いと思ったのだろう。
彼女の人生の中で、どんな出会いがあって本書を手にしたのだろう。
何を考えているかわからない歳の離れた上司から、儀式的な会話の中で聞かれた質問に、どうしてこの本を解答したのだろう。
登場人物の中に、彼女が共感した誰かが居たのだろうか。
だとしたら、それは誰だったのだろう。
それとも、ただ単純に娯楽として面白かったというだけなのか。
多分その確率が高いけど。
苦し紛れの雑談のタネに「どんな本を読むの?」と聞くことはあるけれど、これはとてもパーソナルな質問だ。
多分小生が聞かれたら、きっと本当のことは答えない。
相手が理解できて、読んでみようかなと思うような無難な回答をするはずだ。
そう、カラオケの選曲みたいなもので、その時の場にふさわしい一曲を選ぶのであって、自分が本当に好きな曲、歌いたい曲を選ぶわけではない。
なんであの時、「どんな本を読むの?」なんて聞いたのだろう。
意味のある答えなんて、多分答えてもらえなかっただろうに。
後悔しているわけでもないけれど、遠く思い返してしまう。
人生はそんなことの繰り返しだなぁ、と。
まぁ、ご参考ということで。