kindle日替わりセールで高い評価だった本書を買って読む。
ヤクザ専門のライターである著者が、50歳にしてピアノを始めるというセルフドキュメント。
著者のライターとしての緻密さがうかがえるトピックス、オジサンの悪戦苦闘ぶり、そしてピアノ学習の世界と山口組の抗争の取材が少し混じり、そのギャップが非常に笑える。
小生も楽器演奏に憧れを持ちながら手を出せていないオジサンの一人なので、著者の気持ちはよくわかる。
そういう共感もできる一冊。
ピアノ教室の殆どが子供を対象としている関係で、子供へのピアノ教育に話題は及ぶ。
コンクールや発表会に向けて追い込むけれど、それでピアノを好きになった子供が何人いるか。
大人になったら殆どの人が辞めてしまう、そういう教え方は教育として失敗なんじゃないか。
それを思えば学校の音楽や体育は、ただ音楽嫌い、運動嫌いを作っているだけなのでは。
すごく共感できる。
娘にはピアノを含め、いくつかの習い事を並行させているが、人生を共に歩むような楽しみ方をしてほしいと本当に願っている。
好きなことがない人生というのは本当に退屈だ。
退屈しのぎに余計な浪費すらしてしまいそうである。
また、心の底から何かを愛している人というのは、周りの人をも幸せにする力を持っている。
それを仕事にしているからピアニストと呼ぶのではなく、それを本当に愛しているからピアニストと呼ぶ。
格闘が強い、技を知っているからだけではなく、武術修行を人生の中軸に置いているから、武道家と呼ぶ。
そんな風に思っていて、そういう人達が尊敬されるのは、何かに秀でているからではなく、その愛情が周囲を幸せにする力を持っているからなんじゃなかろうか。
まぁ、ご参考ということで。