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なぜ日本の女子レスリングは強くなったのか 吉田沙保里と伊調馨
- 作者: 布施鋼治
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2017/03/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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半分興味本位(格闘技好きなので)、半分組織論への期待(トップクラス人材を生み出す組織とは、みたいな)で選んで読んだ次第。
期待はまぁ、満たされたような、それとは関係なく楽しんだというか。
本書の構成は、日本女子レスリングの創成期を関係者の証言から紡いで行くパート、吉田沙保里・伊調馨の両選手の個性を、関係者のインタビューから浮かび上がらせて行くパート、これからの活躍が期待される若手選手のインタビューという構成になっている。
各選手のインタビューについては、みんなもうホント凄いな、という一言に尽きるのだが、興味深かったのはトップ選手は悉く至学館出身という事実。
格闘技は練習相手が必ず必要で、練習相手のレベルに技術レベルが影響を受けてしまうから、特定の強豪校に日本中から優秀な選手に集まり、さらに強い選手が再生産されるという構造なのかもしれない。
そこはビジネスの世界でも、同じロジックが成立しうるのかもしれない。
一方で、ずいぶん前かと思っていたが、今年はこんな報道もあった。
至学館の女子レスリング部の練習はそれはもう相当なようで、それ自体はある種当たり前なのだと思うが、昭和のモーレツ特訓でメンタルも鍛える、というような内容だった、なんてことはあるまいか。
本書を読み、上記の記事を読むと、そんなことを感じさせる(金メダリストですら、男子のコーチに付いてから技術論に開眼するなんて、いったい何を教えているのか、という風に思うのだ)。
あと、印象に残ったのは、冒頭の創成期に尽力された方々の証言の中に、「世界でトップを取るような子は、人前でも平気で歌を歌うような度胸がある」「瞳がキラキラしていて明るい」というものがあり、娘を持つ父親としては、思わず唸らせられたりもする。
それにしても、創成期の皆さんの努力は、道なきところを切り開いてきた凄みが感じられ、深い感銘を受けるとともに、自分も頑張らねばと、奮い立たせられるエピソードの数々なのであった。
まぁ、ご参考ということで。