「一眼、二足、三胆、四力」。
「いちがん、にそく、さんたん、しりき」と師匠から教わっている。
有名な剣術指南書にある言葉で、武術(剣術?)における重要なポイントを示したもの。
一に目附(めつけ)、視力の良し悪しではない。
二に足捌き。
これはもちろん足腰の強さもある。
三に胆力、ガッツだね。
四に力、四番目だけど、それでもやっぱり力が大事なのね、と受け止めている(苦笑)。
で、一番目の目附なんだけれど、戦い(もしくは稽古)の最中にどこを見ているか、という話。
これは常日頃から重要だと思っている。
剣術であれば、相手の剣や、相手の剣と自分の剣が合ったところばかり見ることが多い。
体術であれば、グリップされているところ、動かしたいところ、攻撃したいところに視線を集中させがちである。
しかし、これをやってしまうと、姿勢が変わり、技の間合いが変わり、支点力点作用点すべてが変わり、技が効かないばかりか稽古の質が落ち、やればやるほど下手になるリスクが生じる。
それともう一つ、他のことが目に入らなくなるという事態に陥りやすい。
なんとはなれば、すぐ近くに有効な武器になるものや、脱出口など、その瞬間に最も効果的な選択肢があるにも関わらず、見落としてしまう。
武術家というのは、習熟した武術で対処したくなるバイアスが必ず発生すると思っている。
それは本人にとっては一番取りやすい選択肢なのだけれども、その時その時で常にベストとは限らない。
なにかに習熟しているがゆえに、イマイチな選択をしてしまう弊害は必ずある。
常に自戒、ということなのであった。
おまけでもう一冊、レビューは昨日と同じなので割愛するが、とても良い本ですよ。
まぁ、ご参考ということで。