セールだったかで目にして、非常に面白そうだったので購入。
実際面白かったのだが、まぁまぁ長い本。
Windows NTを開発したプログラマーたち、マイクロソフト経営陣たちの当時を追ったドキュメンタリー作品。
最終的にはWindows NTは完成するわけだけれども、一つのプロットを巡って展開するというより、Windows NT関係者たちの群像劇というか。
一人ひとりに人生があり、物語があるところを、丁寧に取り上げている感じで、結論として教訓めいたものを導き出そうとしているわけではない。
とはいえ主役はDECから来たデイヴィッド・カトラーという人物。
典型的な仕事の鬼タイプで、小生が社会人になった20年前くらいはチラホラ目にしたわけだが、同じ頃にはアメリカにも沢山居たということだね。
マイクロソフト社員の働きぶりも、そのまんま昔の日本企業。
服装がカジュアルだったり職場に遊び道具があったりするくらいが違いで、働く人間に生活そのものが会社になるようなスタイルを求めるあたりは一緒。
あぁ、そんな時代もあったのだなぁと思いつつ、そこからキッチリ変えてきているのがアメリカの会社なんだよねぇ、という風に溜息をついてみたりする。
アメリカ企業も昔は経営陣が男だらけで、オールドボーイズクラブなんて言われていたのを、多様性ある形に変えてきたわけだが、そういうドラスティックは変化をつくりだせるところが凄いなと思う。
もう一つ、昔のテクノロジーの話が中心なのでそうなるのだが、各種リソースを如何に喰わないようにするか、という工夫が出てくる。
以前グーグルの創業期の話を読んだときに、Gmailが大量のストレージを用意していることに対し、如何にストレージを喰わないようにするか苦心し続けたビル・ゲイツには思いも寄らなかった、というエピソードを思い出した。
イノベーションには時として世代交代が必要なことがある。
当事者世代がいくら頭を捻っても、逆の向きのベクトルにはなかなか進めないもので、そういうときには次の世代の誕生を待つしかない。
そして次の世代が誕生したら、当事者世代はあっさり道を譲るのだ。
スティーブ・ジョブズは良いこと言ったなぁなんて思ったり。
そんな色々を考えさせられる本だった。
まぁ、ご参考ということで。