人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

野性の証明

今朝は小雨。

大雨でも霧雨でもなく、ポツリ、ポツリと降る程度で、風は穏やか。

 

この程度であれば、いつものとおり走りに行く。

少し身体の重さを感じながら、遅いペースで近所の川の土手に到着し、走り続けていた時のこと。

 

前方左下の視界に鳩が目に入る。

そのさらに左下、土手の斜面下2メートルほど離れたところに、白地に少し斑のある猫を認識する。

 

「お、猫か」と思ったその刹那。

白い猫は一筋の帯となり、次の瞬間には両前脚でガッチリと鳩を捕らえ、その牙は鳩の背中に確かに食い込んでいた。

 

「あっ!!!」と思ったのも束の間、走る小生に驚いた猫は獲物を離してしまい、鳩はその人生で最速であろう速度で飛び去っていった。

驚かせて猫には申し訳ないことをしたと思うべきなのか、鳩を助けることができたと解釈すべきなのか…。

 

しかし、あれだけ見事な狩りを見せられた立場としては、あのまま成就させてあげたかった、申し訳ないことをした、というのが率直な思い。

普段何をして生きているのかよくわからない野良猫の、獣となる瞬間。

 

土手下の死角から忍び寄るのも見事。

飛びかかる速度や捕獲の技術の巧みさも見事。

 

集中しすぎて走りくる小生に気がつかないのも、驚いて思わず獲物を離してしまう少し滑稽なところもまた、本能のなせる業。

小雨降る朝に、小さいながらも本物の野性に触れた衝撃に、小生の中で確かに反応するものがある。

 

小生の野性はどこだ?

確かな手応えがあるそれは、どんな形で、いま何をしている?

 

ランニングもボクシングも合気道も、完全に統制された動きゆえ、実は野性と対極にあるのだが、それを突き動かすのは野性であり、修練によってまた野性を養うもののような気がする。

「持っているものは、出さなきゃダメだぜ」そんな声が聞こえて来る。

 

まぁ、ご参考ということで。