一度しか観ていないのに、心に残っている映画の一つに「ディファイアンス」という作品がある。
第二次大戦下のポーランドに於いて、レジスタンスとして戦い抜く三兄弟のストーリー。
映画の制作側は、完全にリーダーシップの物語として仕立てていると思う。
長男が主役ではあるのだが、色々な経緯で結果的にリーダーになっていくプロセスを描く。
組織運営の中で次第に次男と対立し、一度は次男を「切る」決断と、最終的に和解・合流を経て組織が再成長していく。
そして三男が次の世代のリーダーとして育ち、バトンを渡す。
一人のリーダーが生まれ、苦渋の決断を乗り越え、次の代に移行するまでを、一つの映画の中で納めているのである。
長男は明確な意思を持って組織を率いることになったわけではない。
そういう出発点だから、組織をコントロールしようという欲は無いのだが、必要に迫られてコントロールしようにも、結局は次男との対立構造を生んでしまう。
最終的には和解するのだが、映画を見ている立場からすると、和解の果てに、三男がリーダーのポテンシャルがあると判明した段階で、あっさりリーダーの座を渡すように見える。
この辺りの手離れの良さに、リーダーとしての上手さがあるような気がしてならない。
リーダーがコントロールしているうちは、組織はリーダーの器以上にはならない。
「もういちいち面倒見きれませんわ」とでもいうかのような葛藤を抱えつつ、コントロールを放棄していき、結果的に組織が成長していく。
言い換えると、意識的にカオスを作り出すことが、成長のきっかけにつながっていく、ということだ。
リーダーが交代すれば、そりゃ混乱は起きる。
でも、その混乱も含めて組織成長の必然と捉えられるリーダーこそが、組織を大きくできるんじゃないかと思ったりする今日この頃。
是非一度、映画をご覧あれ。
まぁ、ご参考ということで。