まずはリンク。
- 作者: クリス・アーンスト,ドナ・クロボット=メイソン,加藤雅則,三木俊哉
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/12/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
組織論は個人的に興味がある分野なので、確かKindleのおすすめで紹介され、レビューも高かったので購入した次第。
海外物のよくある経営指南書的なテイストを感じてはいたけれども…。
内容は、多様な意見で分断された組織をまとめ上げた事例を紹介しながら、タイトル通り「組織の壁を越える」ためにはどうすれば良いのか、という方法論を分析、提示しているというもの。
方法論を6段階に分け、目指す姿を「バウンダリー・スパニング」という概念で説明している。
読了した印象としては、非常にコンサル的というか、事象を切り分けて分析し、それぞれの事象への対処策を積み上げていくというものなのだが、「それ本当に必要?」という感想を否定できない。
違いを受け入れて「膝詰め」で話をすればいいよね、というところを、「バッファリング」とか「リフレクティング」とか、いろいろな段階にそれぞれ名前をつけて論旨展開をしていくのである。
ちょっと辛い言い方をさせてもらうならば、「ざっくり」した話を、わざわざ細切れにして複雑化している、という感じである。
合間合間に挿入される図も、意味のある図式とは思えない(スパイラルを描いているが、スパイラル構造になっている論拠は筆者のイメージでしかない)。
全体に、おかしなことを言っているわけではないし、そこに異論はないのだが、簡単な話を複雑化しているような印象を持ってしまう。
ちょっと色々な人の意見を聞いてみたいところである。
とはいえ、考えさせられたことが一つあって、本書で取り上げるケースというのは、人種間対立とか、もともと別法人だった組織間対立をどう解消するか、という話だったのだけれど、比較的同質性が高い日本の法人の場合、対立が見えない形で進行しているんじゃないか、という心配である。
なんとなくナァナァでコミュニケーションが進行しているように見えて、実は見えない対立構造があるのでは、という話である。
ちょっと振り返ってみたいと思った次第。
まぁ、ご参考ということで。