人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「リフレクティブ・マネジャー」 読了 〜しっくりきて何故か頭に残る〜

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著者は「キャリア」「組織」「経営」といったキーワードで必ず遭遇するであろう重鎮お二人。

興味のある領域なので当然ポチったし、ザッポス社の組織論なんかを読んでいたので、今回手にとった次第。

 

働く大人にとっての学びとはなにか、学ぶとはどういうことか、会社はそれをどのように支援すべきか、これからの時代の学びとは、といったテーマで、中原氏・金井氏それぞれの見解が往復書簡のように述べられていく。

タイトルは「マネジャー」となっていて、マネジャーが部下をどう指導していくのか、という点は一部言及されるものの、どちらかというと社会人全般についての内容と言ってよいだろう。

 

しっくりくる記述が多数あった一方で、なにか大事な話を逃しているんじゃないかと思ったりして、二度連続で読んでしまう。

もちろんタイトルの通り、「内省」がキーワードになるのだけれど、悶々と自分探しをするようなものでもないし、反省文を書くわけでもないし、もちろん「内省」が学びの全てでもない。

 

折に触れ、日常業務を離れ、自分の仕事について考える。

あるいはビジネスの現場では低く見られがちな「個人的見解」「持論」なんかを整理してみる。

 

本書ではビジネスの現場を離れた「個人的見解」が展開される場として、かつての「タバコ部屋」が例示されるのだが、これはイノベーション論でも「タバコ部屋」的な機能が求められたりするので、人間の学びや成長・発見にはこういう機能が必要なのであろうと、一人得心してしまう。

小生自身を振り返るに、折に触れて自分の仕事について考えるというのは、転職の機会だったのではなかろうか。

 

良し悪しは別にして、大体三年に一回くらい転職してきているのだが、都度「自分は何をやってきて」「何を目指していて」「なぜ辞めようとしているのか」というのを死ぬほど考えて次の会社の面接に臨んできている。

そして新しい環境に入り、無我夢中で働くわけだが、過去については一旦整理がついた状態なので、改めて振り返ることはなく、現実的なスキルとして、あるいは得意不得意・好き嫌いなどといった自身の軸として昇華されていく。

 

これを内省と言わずしてなんと言おう。

ま、だから転職しましょうという話ではもちろんないのだが。

 

個人的に、他になるほどと思ったのは、マネジャーはメンバーの成長すべてを負う必要はなく、組織として「学び合える」状態を作ればよいのではないか、という指摘など。

思わず二度読みしてしまったのは、こんなような大事な言葉がたくさん散りばめられていて、スルーしてしまったものがあったんじゃないかと思ったから。

 

折に触れて読み返したい一冊である。

まぁ、ご参考ということで。