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村木次官といえば、ある程度から上の年齢の人は知っているだろう。
厚生労働省の事務次官として在職中に逮捕され、裁判で無罪を勝ち取った方だ。
何冊か本を出されていたのは認識していたが、読んだことはなく、今回はタイトルが組織に関わるものだったので、思わず手にした次第。
こういう時に、Kindle Unlimitedは便利である。
新聞連載をベースに加筆訂正した内容で、かつて巻き込まれた冤罪事件を振り返り、対峙した検察という日本型官僚組織の問題を考察、続いて村木氏自身の来歴に触れながら、現在取り組んでいるプロジェクトを紹介する、という流れである。
本書を通じて感じられる村木氏のお人柄は、本当に親しみやすく良い人なんだろうなと感じさせるが、「日本型組織の病」の内容については「考える」というタイトル通り、エッセイ的なトーン・レベル感でまとめられている。
ま、新聞連載が元なら、こんなものかなという程度。
基本的には、「結局はダイバーシティだよね」という至極真っ当な見解である。
読んでいて、おぞましいなとつくづく思うのは、村木氏の裁判の後半で、物的証拠が崩れ、有罪のロジックが破綻しているのが明らかになっているにもかかわらず、それでも検察側が懲役刑を求刑するところ。
外から見たときの正しさなど顧みることなく、組織として求刑することにしたから求刑するという、意味のないアクションを実行してしまうところに、闇を感じる。
日本型組織にダイバーシティが求められて久しいが、ダイバーシティの乏しい組織は、外から見たらおかしいことに取り組んでいること自体を、なかなか気付けないために、ダイバーシティの必要性をそもそも理解できない、というところが悩ましい。
そういう組織というのは、「他山の石」で気付くのを待つしかないのか、中の人はとっとと辞めるしかないのか、はてさてと思うのである。
まぁ、ご参考ということで。