人生では時々「手段が目的化する」場面に遭遇することがある。
健康維持が目的なのに、ひたすらトレーニングを積んで怪我をするとか、お金を稼ぐ目的のはずが、会社に住んでしまっているとか。
自分を見失ってしまっているので、それはそれで冷静にならなければならないが、目的化した手段というのは往々にして、そもそもの目的も達成できなくなることが多いので、二重の意味で注意が必要だ。
小生の様に、コンサルティングを業とする人間は特に、誰よりも冷静であるべきだと思う。
ところで、最近ちょっと変わった事例に遭遇した。
新規事業の相談だったのだが、実現したいビジョンはあるものの、どう組み立てるか、という内容。
お話をお聞きしていて、実現したいビジョンは共感できるが、ちょっと壮大なので、実現方法が課題のご様子。
いわば、目的ははっきりしているが、手段が曖昧な状態。
なので、実現の道筋をいくつか議論し、「こういう手順で組み立ててはいかがか」という提案をさせていただいた。
しかし小生の力不足で、あまりご納得いただけない様子。
最初の一歩のカタチを引き合いに、「私は別にそれがやりたいわけじゃない」と。
小生も、「えぇ、だからそれは手段であって、もちろん目的ではないですよね」と。
「いやでも私はこれを実現したいのであって…」となる。
ほんと力不足を申し訳無く思うが、一方で、これは「目的の手段化」とでも表現すべき事態なのかな、と思ったり。
目的達成にこだわるあまり、それが手段にまで侵食してしまうというか。
結局そうなると立ち上げられなくて、目的も達成できなくなるのだが。
いずれにしても、目的と手段の整理というのは、難しいものである。
自戒を込めて。
まぁ、ご参考ということで。