人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

こんな人いたんだ

Kindleのセールで遭遇し高評価だったのでポチる。

 

福沢桃介というのはこんな人。

ja.wikipedia.org

 

ストーリーは実在の人物そのものだから割愛するとして、相場に熱狂する様や資金調達のギリギリの交渉など、創作なんだろうけれども読ませる作品なのであった。

なにか役に立つかというと、そういうものでもないのだけれど、普通に娯楽として楽しめたと思う。

 

20年以上ビジネスの世界にいて、ビジネス書や評伝もたくさん読んできたが、福沢諭吉先生に娘婿がいたなんていうことも知らなかったし、その人がこんな実業家だったとも知らなんだ。

まだまだ知らない偉人はいるのだなぁ、というのが素直な感想の伝奇小説なのでした。

 

まぁ、ご参考ということで。

一眼二足三胆四力、あるいは習熟の弊害

「一眼、二足、三胆、四力」。

「いちがん、にそく、さんたん、しりき」と師匠から教わっている。

 

有名な剣術指南書にある言葉で、武術(剣術?)における重要なポイントを示したもの。

一に目附(めつけ)、視力の良し悪しではない。

 

二に足捌き。

これはもちろん足腰の強さもある。

 

三に胆力、ガッツだね。

四に力、四番目だけど、それでもやっぱり力が大事なのね、と受け止めている(苦笑)。

 

で、一番目の目附なんだけれど、戦い(もしくは稽古)の最中にどこを見ているか、という話。

これは常日頃から重要だと思っている。

 

剣術であれば、相手の剣や、相手の剣と自分の剣が合ったところばかり見ることが多い。

体術であれば、グリップされているところ、動かしたいところ、攻撃したいところに視線を集中させがちである。

 

しかし、これをやってしまうと、姿勢が変わり、技の間合いが変わり、支点力点作用点すべてが変わり、技が効かないばかりか稽古の質が落ち、やればやるほど下手になるリスクが生じる。

それともう一つ、他のことが目に入らなくなるという事態に陥りやすい。

 

なんとはなれば、すぐ近くに有効な武器になるものや、脱出口など、その瞬間に最も効果的な選択肢があるにも関わらず、見落としてしまう。

武術家というのは、習熟した武術で対処したくなるバイアスが必ず発生すると思っている。

 

それは本人にとっては一番取りやすい選択肢なのだけれども、その時その時で常にベストとは限らない。

なにかに習熟しているがゆえに、イマイチな選択をしてしまう弊害は必ずある。

 

常に自戒、ということなのであった。

おまけでもう一冊、レビューは昨日と同じなので割愛するが、とても良い本ですよ。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

本を読んだら強くなれるのか

格闘技研究に余念がない。

 

ブラジリアン柔術の本は、グレイシー一家の出版も含め他にもコレクションがある。

基本的に寝技のテクニックなので、相手と組んで練習しないとあまり意味がないと思う。

 

でも、師匠の動きを観て、その真似をするという稽古を30年近く繰り返してきたので、観たものを自分の体で再現するということに関しては、普通の人より得意なはず。

という謎の自信を持しつつ「ふむふむ」と読みすすめる。

 

知識として知っているだけで、役に立つということは大いに有り得る。

なんとはなれば小生の読書は、広い意味で「強くなる」「強くなりそうな」内容を選んでいるので、心持ちは同じなのだ。

 

たとえ小説だって、ある状況下に置かれた主人公の判断・行動が、「俺もそうする」「俺はやらないな」と振り返りつつ読むことで、ある種の思考実験にだってなるわけで。

それ以外にもビジネスとして知っておいたほうが良いこととか、事例とか、本を読むだけで(広い意味で)「強くなる」ことはあるのだよ。

 

ということで、小生の武術・格闘技本コレクションは増え続けるのであった。

まぁ、ご参考ということで。

 

自分の信じる道が大事

子育てに迷い続ける日々なので、こんな本を読む。

 

著者の本(ご主人との共著)は以前読んだことがある(ニコイチ幸福学)。

4つの力というのは表紙を参考にしていただくとして、それぞれがどんなものか、具体的にはどんな実践を通じて育むものなのかを、一般読者の声を通じて紹介していくというもの。

 

言っていることはよく分かる。

否定しないとか、自主性を促すとか。

 

ポジティブ心理学的なアプローチもまぁ、やるにはやった。

でも、自主性に任せていると出来ないので、こうなったんだよね(苦笑)。

 

任せていたら宿題も学校の準備も完全に放置しているし、あの何度言ってもわからない感からすると、本人が自覚するまで待っていたら「のび太くん」並の生徒になってしまったのではなかろうか。

著者の言うことを否定するつもりはないし、これで上手く子供もいるんだと思う。

 

最終的には、本人が自主的に動けるようにならないことには、大人になるまでに困ってしまうとしても、自主的に行動を選択するまでのインプットがまだ足りていないんじゃないかと、娘を観ていて感じる。

一方で実験的に、他所から預かった子、あるいは地球に初めてやって来た宇宙人として観察すると、「そんな余計なことやらんでも…」という振る舞いも、なんとなく許容出来たりする。

 

一方でしっかり詰め込み、大人の求めるクオリティまで仕上がりを要求するという鍛錬を重ねながら、「まぁ宇宙人だから色々やりたくなるわな」という広い心をキープしてあげるのが、今の所の落とし所なんじゃないかと思ったり。

悩むねぇ…。

 

親である以上は最後まで悩むんだろうね。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

聴いてまんがな…

優れたリーダーを目指すべく、セールで買ったこんな本を読む。

 

プロフェッショナルコーチによるタイトル通りの本。

なぜ傾聴力が必要か、力を磨くとどうなるのか、具体的にはどうやるのか、ちゃんと書いてある。

 

類書は一応読んできたので、これといって新しい発見はなかったかと思う。

でも「傾聴力」というテーマで一冊選べということであれば、本書でいいのではないか。

 

幸いにして人から「話聞いてないよね〜」なんてことを言われることはない。

喋りたいのは山々なれど、場全体での自分の発言量は常に意識しているし、基本的に聴くスタンスを心がけているつもりなので。

 

とはいえ、「聞き上手ですね」とも「話しやすい」とも言われたことはないので、まだまだ修行が足りないと思っている。

思わず話したくなる、話すとスッキリする、話すと色々な気付きがある、そんな人になりたいなと思っているのだが。

 

まぁ、ご参考ということで。

誰しも同じ人間である

Kindle日替りセールでポチった本を読む。

 

サブタイトルは色々ついているけれども、宇宙飛行士の野口聡一氏によるビジネスエッセイである。

この一年に書かれた本なので、テレワークの話題と、宇宙空間こそ究極のテレワークという筋で書いてある。

 

宇宙飛行士に関連する仕事は何冊か読んでいて、その中でも、各種論評等でも、野口聡一氏は非常に優秀なリーダーという評が多かったので興味を持った。

拝読してみて、確かに優秀なリーダーという印象。

 

多岐にわたる知識、スキル。

メンバーを迷わせない気遣い、配慮、それらを統合したコミュニケーション。

 

あとはプロとして真剣に仕事に向き合う姿勢。

そんな要素を併せ持った人なんだなというのは文章から伝わってくる。

 

興味深いと感じたのは、宇宙飛行士はミッションを終えて帰還すると、ある種の燃え尽き症候群に陥ってしまうらしい。

その心境の変化を野口氏は研究対象とし、同じく燃え尽き症候群になりやすいスポーツ選手との対話を通じて「当事者研究」というものに取り組んでいるとのこと。

 

そのあたりのサマリーもあって、なるほど宇宙飛行士やアスリートも、特定の分野では素晴らしい能力を発揮するけれども、その環境から取り去ってしまうと脆い一人の人間なんだなと思わされる。

だからどうした、という話ではあるのだけれど、やはり自分の能力が出来得る限り発揮できる環境を選び、その環境が失われつつあるなら上手く適応していく、というのは人間の基本スキルなんだろうなと。

 

まぁ、ご参考ということで。