格闘技研究。
もちろんあの「バイタル柔道」からインスパイアされたタイトル。
パイオニアらしい豊かな見識、そしてバイタル柔道の援用からわかるように格闘技への深い愛情が伝わってくる。
各章に挟まれるコラムからもそれらがにじみだしており、なんだか読んでいるだけで元気になれそうである。
いま盛んになりつつある競技柔術にとどまることなく、格闘技としてのブラジリアン柔術を説いていて、ルール外だったり七帝柔道だったりのテクニックも説明されている。
本書全体に、自由に自分の柔術を創り、自分のペースで取り組めばよいという著者のスタンスがうかがえて、とても好感が持てる。
趣味で買うには少々お高い本だとは思うし、本格的に寝技に取り組まない限り、理解も覚束ないのだろうが、淡々とした冷静な筆致の奥にある、耐えることなき情熱に触れられるだけでも、買った価値はあった。
名著の誉れ高いのもうなずける。
まぁ、ご参考ということで。