積読在庫消化。
Kindle日替りセールだったのかなぁ、買ったのは。
吉村昭作品は「蚤と爆弾」以来。
緻密な取材を積み重ねた伝記小説。
農民から非正規社員みたいな役人に取り立てられ、自身の興味と、身を立てたいという欲求に駆られ、遠大な冒険に挑む。
後年はほとんど隠密みたいなことやってるんですね。
知らなんだ。
勤勉さと健脚という、格別知恵があるわけでも武芸に秀でたわけでもない一人の人間が、歴史にその名を残す姿は、純粋に「俺も頑張ろう」と勇気づけられるところはありますな。
仕事の宿命で、家庭には恵まれなかった生涯だったようだが、あの時代にあれだけのことを成し遂げるという、良い生き様を味わうことができた。
後書を読んでいて、興味深いなと思ったのは、著者は間宮林蔵の同時代人をたくさん描いているんだね。
一人書いて、その取材のために資料を積み上げていく中で、この人も描いてみたい、ということになっているみたいなんだけれども、多くの同時代人を描き続けることで、人物への理解や解釈が重層的になっていくんじゃないかなと感じた。
少々長いのではあるが、面白いと思いました。
次の吉村昭作品は近所の書店で売ってた「羆嵐」にしようと思います(多分クマが出没してるから平台だったんだと思う・・・)。
まぁ、ご参考ということで。