Kindle日替りセールでなんとなく興味を持って、そのままにしていた本を手に取る。
著者は総合商社での勤務経験を経て、M&Aのアドバイザーとして成功しているビジネスパーソン。
その経験を踏まえ、ビジネスにおける実践的なテクニックとしてまとめたのが本書。
結構良い本だなと思ったのは、単なる武勇伝的な内容ではなく、心理学とか行動経済学の知見も踏まえ、既存の交渉術に関する本もあらかた舐めた上で、本当に使えるものをという想いで書かれているところ。
小生が普段心がけていること、やってきたこととそんなに違わなかったので、ちょっと安心(笑)。
そんな中でとても共感したのが、「良い交渉とは何か」という記述。
著者は、たとえ取引が成立しなくても、お互いの信頼関係が深まるのが良い交渉、と述べている。
これは本当にそうで、ビジネスとは一度きりの縁とは限らないし、その取引の関係者がどこに繋がっているかわからないものなのである。
人材エージェントの時にも、何年か前にお引き合わせした方々がまたお会いして、というのは何度か経験があるし、別の会社に伺った際に「あぁ、あの人ね…」なんていうこともあった。
取引が成立するかどうかは、いろいろな要素があって、たとえ心の深いところで繋がり合えるような信頼関係が作れても、ビジネスにならないことはたくさんあるものなのだ。
でも、深い信頼があれば、またどこかで一緒に仕事をする機会は作れるし、誰かとそんな関係を作れたことこそ、とても楽しい、人間本来の喜びに満ちた瞬間だったりするのだと思っている。
まぁ、ご参考ということで。