こんな本を読む。
外国文化、歴史繋がりで積読に手をつける。
古代から近代まで大きな括りで中華料理の変遷を解説した本。
所々に著者個人の体験や感覚が散りばめられ、親しみやすさを感じるが、基本的にはひたすらに解説していく構成なので、単調といえば単調な本ではある。
中華料理といえば「中国四千年の歴史」であるけれども、四千年前の中華料理は現在のイメージとはかけ離れている。
もはや片鱗すらない、粉物・汁物である(手で食べているし)。
我々や世界の人がイメージする定番料理はせいぜい200年〜300年の歴史しかないのである。
なんといっても唐辛子が一般化したのが200年くらいなので、まぁそうなるわけだ。
もちろん、四千年の間、連綿と続いてきたから現在があるわけだけれども、何をもって伝統というのか、そこには簡単に整理できない問題がある。
日本の武道だってそうだ。
江戸中期に完成したと考えても、せいぜい三百年、十世代といったところ。
その間に社会や文化の劇的な変化があって、影響が無いわけがない。
「哲学とは時代の哲学」、つまりその時代の文化、文明、空気に支配されるというのは亡き師匠の言葉。
良くも悪くも、「伝統とは現代における伝統」なのである。
だからこそ、何を、どのように残すかが、常に問われていると感じている。
まぁ、ご参考ということで。