人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

人間こそホラー

海外事情の延長で、Kindle日替りセールで入手したこちらを読む。

 

第一次大戦後のドイツにおいて、ヒトラーが如何にして政権を獲り、独裁者となってあの惨事を起こしたか、詳細な文献資料を元に丁寧に解説された本。

ここまでしっかりこの分野を読んだのは初めて。

 

それにしても恐ろしい。

本当に怖いなと思う。

 

ヒトラーが政権に就いた時、ドイツ国民も熱狂をもって受け入れたのだ」みたいな文章を読んだ記憶があったのだが、本書読了後の印象はちょっと違う。

国の統治機構上許された、ちょっとしたカラクリと巡り合わせで少数与党として政権を獲り、国民が「ちょっと危なげなやつが首相になっちゃったけど、どんなもんだろうね」と様子を見ている間に、あれよあれよと権力を拡張し、プロパガンダを通じて国民を洗脳、明確な意思を持って史上稀に見る絶対権力者になった、と感じた。

 

悪意を持った人間が、一見合法的に基盤を固めていく姿は、どこにでも、いつの時代でも起こりうる姿。

そして、ちょっとした変化に、とりあえず様子見を決め込む大衆もまた、普遍的な姿。

 

いつなんどき、その組み合わせがまた起こらないと、誰が断言できよう。

いつ、どこでも起こりうる怖さに、背筋が寒くなる。

 

ダメなものはダメ。

様子見は先送りでしかない。

 

そんなことを思い知らされる一冊であった。

まぁ、ご参考ということで。