「イノベーションのジレンマ」はご存知のことと思う。
イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)
- 作者:クレイトン・クリステンセン
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2011/12/20
- メディア: 単行本
正確なところは、いずれ研究によって明らかになると思うのだが、今まさに「イノベーションのジレンマ」が進行しつつあるのが、カメラ業界ではないかと考えている。
キヤノン、ニコンという大手2社が牽引してきた業界であるが、現在最も勢いがあるのはソニーと言って良い。
大手2社が一眼レフカメラで圧倒的なシェアを持つ中に、ミラーレスカメラという新技術で切り込み、逆転しつつある。
ミラーレスは、登場してしばらくの間は、画質はともかくカメラの重要な機能であるオートフォーカスが遅かったため、「ローエンドの技術」だったのだが、地道な技術開発の果てに既存技術を凌駕し市場を席巻する姿は、まさに「イノベーションのジレンマ」そのもの。
カメラ業界は、さらに波乱含みで、GoogleやAppleが画像処理技術を向上させ、あたかもハイエンドカメラで撮影したかのようなスマホ写真を実現しようとしていて、カメラそのものが存亡の危機にある中、ソニーはそのスマホカメラのセンサーを製造販売するキープレイヤーとして君臨し、盤石な構えをとっているように見受けられる。
そういう意味では、「イノベーションのジレンマ」のリアルな事例としてだけでなく、さらに先をいく打ち手をとったソニーは、たとえそれが結果論で、10年後には栄華を失っていたとしても、経営史の中に残る偉業を、今まさに達成しつつあるのではないか。
とはいうものの、大手2社にもまだまだ逆転のチャンスはあると思っているので、ますます奮起していただき、小生を含むカメラファンを楽しませてもらいたいと、強く期待している。
まぁ、ご参考ということで。