こんな本を読む。
久しぶりにビジネスの成功譚を読みたいなと。
いま、世界中で一般化したQRコードは、日本発の規格だということはご存知だろうか。
自動車部品メーカー大手デンソーの新規事業である。
その辺りまでは存じ上げていたのだが、着想の経緯、どのように事業化し、世界的な規格に持っていったのか、本書ではじめて知ることができた。
イノベーションや新規事業といったテーマに興味のある方が読めば充分に楽しめるとは思うが、なかなか簡単では無いとも感じる。
何が難しいかと言えば、そこまでの余裕が組織に無いんだよね。
正解のない問題に、どれくらい、いつまで、何人で取り組むか。
そのこと自体を考えるのもストレスだし、そこに説明責任を設ければ、その説明のために多くの労力が割かれる。
デンソーという会社は、トヨタ系列の自動車部品メーカーという強烈なアイデンティティがあるからこそ、「それ以外」を開拓しようという思いが、本業を逆転させるところまではなかなかいかないけれど、常に健全な危機感として存在して、だからこそQRコード開発にも取り組めたのかなぁも感じる。
そして、自分たちの関わってきた領域はしっかり追求するんだけれど、それ以外はわからないから、規格を解放して自由に使ってもらえば良いと考える。
その中で新たな用途が開発され、それに伴って技術も進歩していく。
わからないものはわからない、わからないところは多くの人の知恵を借りて前に進めば良い。
とても健全な思考である。
どこまで行っても健全な危機感、健全な思考なんだよなぁ…イノベーションには…。
果たしてそれが出来るかなぁと。
まぁ、ご参考ということで。