何がって、カメラ業界の話である。
今、高級モデルの領域で後発のソニーがシェアを増やし続けているのだが、これがまさに「イノベーションのジレンマ」の実例になるのかもしれないと感じている。
イノベーションのジレンマ (―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press))
- 作者: クレイトン・クリステンセン,玉田俊平太,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 株式会社翔泳社
- 発売日: 2011/12/20
- メディア: 新書
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ただ、高級モデルの領域なので、カメラ業界全体を揺るがすようなパワーバランスは崩れないのかもしれないが、ちょっとした地殻変動にはなると思うし、現になりつつあるような気がしている。
ソニーは、2013年10月にα7という機種を発表するのだが、新しいフォーマットということも有り、注目はされたものの、立ち上がりは静かなものだったと記憶している。
カメラというのは機種のバリエーションもさることながら、レンズのバリエーションも揃えていかなければならないので、ラインナップが一定レベルになるには、どうしても数年かかる。
そして初代のα7は、オートフォーカスがちょっと”もっさり”していた。
一眼レフカメラというのは、それまで主流だったレンジファインダーというフォーマットを、特にオートフォーカス性能で置き換えていったと思うので、そういう意味ではα7は、サイズがコンパクトというくらいのメリットしか感じられないものであった。
つまり、イノベーションのジレンマで提示された、「ローエンド技術」なものだったのである。
しかし、5年を経て、ソニーの開発陣は着々と弱点を克服しつつある。
レンズのバリエーションは、必要なラインナップがきっちり揃ってきたし、弱点だったオートフォーカスも、一眼レフと遜色ないところまで引き上げてきた。
詳細は割愛するが、新しいフォーマットだからこそ出来る優位性を最大限活かし、人によっては「一眼レフより良い」というところまでに至っている。
この先10年の業界の流れがどうなるかは、誰にもわからないのだが、大手二社の逆襲も期待しつつ、ユーザーとしてはより良い製品が手に入るのを心待ちにしたいものである。
まぁ、ご参考ということで。