積読在庫消化。
会う人すべてにおすすめできるタイプの本ではないのだが、個人的にはやけに面白いと思った。
法学部出身ということはあるんだろうけれど、日本の法律は大陸法と呼ばれていて、ヨーロッパの流れ、ドイツ・フランスに源流がある。
だから英米法と括られるアメリカの法律・法制度はあまり勉強したことはない(だから知りたいと思うのか?)。
いや、どちらかというと散々観てきたアメリカの法廷ドラマなんかに親しんでいたから、その背景が理解できて面白かったなのかもしれない。
背景といっても、本書はタイトルの通り「アメリカ史」だから、大元の成り立ち、考え方に近いところ。
裁判や選挙で国を作ってきた、あの国独特の文化が少し理解できる。
また南北の対立の歴史を知ると、なぜ人種差別が深刻なのかもわかる。
単純に自分と違うものを差別するというメンタリティのみならず、南部と北部の対立関係でより感情的に深まっていく構造が見える。
黒人奴隷解放を北部が主張するものの、それは南部の地盤沈下を狙うものでもあり、それをわかっている南部は、職も教育もなく放任状態の北部の黒人より、ちゃんと管理されている南部の黒人奴隷の方が幸福である、というような主張を繰り広げていく。
これを長く繰り返してきたから、拗れる拗れる。
それ以外にも、アメリカという国の大きな事件において、当時の国民や裁判所は何を議論し、どう考え、どんな結論を出してきたのか、それによって彼の国はどう変化したのか。
そんなエピソードが多数。
非常にダイナミックな人間模様が繰り広げられて、その辺が非常に面白いのであった。
ちょいと長いんだけど。
とはいえ、20年前の本なので、大統領はオバマで止まっている。
いやー、その先がぜひ読みたいなと思ったら、続編があった。
でも議会襲撃事件とか、先日のアファーマティブアクション違憲判決とかは最新すぎるので載ってないだろうけど、買って読むことにする。
まぁ、ご参考ということで。