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法学部出身なので、法改正には一応アンテナが反応する。
新規事業領域としては常に俎上にあるコンテンツビジネスを制約する著作権法となれば、やはりそこは抑えておくべき、ということでポチる。
著者はビジネスの世界から研究に転じた人のようだが、そのバックグラウンドと関係するのかしないのか、はっきりと規制緩和推進の立場をとっており、本書も両論併記と言うよりは、これまでの著作権法と2019年改正の問題点を明らかにするスタンスで書かれた本。
フェアユース(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B9)という、アメリカで成立し諸外国に採用が広がっている権利概念を、日本が採用しないから日本のビジネスはGoogleに全部持っていかれるのだという主張は、いちビジネスパーソンとして強く共感できる(フェアユースを採用したら本当にGoogleに勝てるかはさておき)。
著者は、著作者の権利を重視する日本のスタンスがイノベーションを阻害するのだ、としているのだが、確かにそうだとしても、このスタンスを変えることは容易ではあるまいなと、ちょっと途方に暮れる。
権利の概念というのは、社会の根幹に関わるもので、是非は別としても日本という国はそういう選択をし、法制化までしたということなのだ。
これを「変えよ」と言って動くほど、日本の社会はビジネスに対する優先順位が高くないと思う。
極端な言い方をすれば、「芸術家の権利」と「金儲け」のどちらを優先しますか、というアジェンダセッティングをすれば、100%前者という判断をするのがこの国だ。
著者のビジネス目線での説得力があればある程、それを実現する道筋の困難さを感じるし、そんな文化レベルでイノベーションが決まると思うと、思わず溜息である。
知ってたけど…。
まぁ、ご参考ということで。