前々から読まねばと思っていた一冊を手に取る。
有名な本なのでご存じの人も多いと思うが、第二次世界大戦でアウシュビッツ(正確にはその分所)に収容されたユダヤ人心理学者による回顧録と言えば良いのだろうか。
個人の体験記なので、それは研究でも論文でもなく回顧録というのが近いと思うのだが、心理学者の書くそれは奥深く、それでいて色褪せることがない。
もう80年も前だというのに、古い出来事のようには感じないし、文章も褪せた印象がない。
それだけ人間の本質を描いた一冊だからだろう。
そして人類は同じことをいつでも繰り返し得る存在ということを忘れてはいけない。
本書の表現するところの価値は、次の文章に集約される。
「人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。」
さぁ、今日の自分はどんな人間と決定しようか?
まぁ、ご参考ということで。