人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

パズルのピース

ビジネス書にもちょっと食傷気味だったので、近所の図書館でこんな本を借りて読む。

たまにはミステリーでも、と思い海外物のオススメをネットで検索して引っかかったというだけ。

 

紙の本を上下巻でよく読んだなぁと我ながら思うが、それだけ面白かったということか。

舞台はイギリスのコーンウォール地方。

 

1933年に起きた乳児の失踪事件に、2003年を舞台に刑事である主人公が挑むというもの。

過去と現在、何人もの登場人物が、入れ替わり立ち替わりでエピソードを紡いでいく構成で、最初は登場人物と出来事、情景についていくだけで精一杯。

 

上巻でパズルのピースが一気に散りばめられ、試行錯誤の中で少しずつ、部分的に塊が出来ていき、下巻で一気に組み上がる。

読み終えた時には全てのピースが嵌り、よく出来た(個人的には出来すぎな)絵が完成する。

 

ネタバレといえばネタバレなのだが、ハッピーエンドで終わるので、安心して読んでほしい。

冒頭の不穏な印象からは、どうなることかと思ったが。

 

それにしても、小説でなければ出来ない表現というのをよく考えてあるなと唸らされる。

登場人物の隠れたエピソードを後から出してくる、というのは小説だから出来ること。

 

目に見える形で表現する場合、隠れたエピソードがもたらす要素を初登場の場面で隠すのはなかなか難易度が高い。

過去と現在を行き来する構成もドラマシリーズにしてしまうとぶつ切りになってしまうし、映画だと長すぎる。

 

本当によく出来ているなぁと、純粋に楽しんだのであった。

まぁ、ご参考ということで。