当方、中高6年間男子校で育ったので、おバカなエピソードはたくさんあった。
時を経てだいぶん風化したり忘れたりしてしまったが、そのためにもう一回男子校に行ってもいいと思うくらい。
書けないような話が多いので(苦笑)詳細は割愛するが、くだらないことでも確かに自分の中の何かを形作ってくれている。
笑いのセンスなのか、人間関係の作り方なのか、集団の中での自分のポジショニングなのか、社会との関わり方なのか、わからないけれど。
この本を読んで、そんな昔を思い出す。
著者が20代〜30代前半にかけて暮らしていた三畳一間のアパートでのドタバタを描いたもの。
著者もそうだと言って良いが、奇人変人だらけ、トンデモエピソードに笑わされる。
ひとつだけでも一生飲み会のネタには事欠かないレベルなのに、いくらでも出てくるのだから人生は不公平に出来ている(違。
しかしこの本に「上手いなぁ」と唸らされてしまったのは、散々おバカなエピソードが繰り広げられる中にも、人生や青春の苦みがありつつ、最後にこのアパートを出るに至った経緯の、柔らかな喜びに包まれるという読後感。
世界中でおバカなことを繰り広げる著者だが、その原点を垣間見ることが出来るだけでなく、作家としての奥行きの深さ、実力がわかる一冊だった。
おバカな青春は人生を豊かにするが、それを「作品」として纏め上げるには努力と才能がいるってことだね。
まぁ、ご参考ということで。