人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

時代は過ぎ去った

こんな本を読む。

 

Kindle日替りセールでレビューが高評価だったのと、石原慎太郎氏の本は読んだことがなかったし、レビューにも本書の題材と著者の組み合わせの意外さを語るものがあり、興味を持って購入。

先日、石原慎太郎氏がお亡くなりになり、なんとなく追悼の意を込めて手にしてみる。

 

非常に短い作品で、こんな言い方が今どきだが、ネットの連載記事数回分というところだろうか。

著者による「長い後書き」というタイトルの文章もあるけれど、それとてそこまで長くはないので、片道の通勤時間数十分で読み終わってしまった。

 

戦中戦後を駆け抜けた無頼漢の半生を、著者なりの美意識で切り取った作品とでも言おうか。

ただまぁ率直なところ、今どきには合わないかなぁとは感じた。

 

一人の人間存在を否定するつもりはないし、こういう時代やこういう人々がいたことを覆い隠す必要はないと思っているけれども、「こういうのは良くないよね」と大筋でこの国全体で動いてきたから今があるんだよね。

著者も諸手を挙げて礼賛しているわけでは無いけれど、後書きにある通り「肉体派」たる著者の美的感覚に、主人公の生き様が強いインパクトを与えたのは事実だと思う。

 

その辺りが小生的にはちょっとついていけないのだが、更に今の若い世代となると、もっと厳しいんじゃないかなぁと勝手に想像するのである。

まさか曽祖父母世代が、こんな世界観で生きていたとは、なんていう衝撃を受けるのでは。

 

何でもかんでも伝承すれば良いわけじゃないからねと、古い武術を修行する小生としても思ってしまうのではありました。

まぁ、ご参考ということで。