人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

禁断の読書

こんな本を読む。

 

これもきっとKindle日替りセールで遭遇し、やたらレビュー評価が高かった一冊なんだと思う。

何の気なしに引っ張り出して読んだけれども、小生も高い評価をつけたい。

 

とはいうものの、小生の交友関係で、この本を薦めたいという人の顔は思い浮かばないし、何が良いのかをうまく説明する自信もない。

読んでも多分役に立たないし、長くて若干難解だし。

 

読めば当たり前だと思っていた概念が激しく揺さぶられ、不穏な思想に触れてしまったが故に、ノーテンキでは居られない感じがする。

こういう本を読んでしまうと、ノーテンキな日常が続いているように見える周囲から、隔絶されたかのような孤独感と、自分だけ優越的な地位に立ったかのようなスノビッシュな感覚と、両方同時に味わうことになる。

 

これはなかなかに禁断の味なのである。

本の内容だけでなく、この感覚そのものも娯楽の一つと言って良い。

 

で、どんな本なのかと。

日本人研究者によるフランスの大学での講義をもとにした12講。

 

閉ざされた社会と開かれた社会の矛盾、個人と社会の相対的な関係性における矛盾、同一化と独自性のはらむ矛盾、そんなテーマに関する総合的・学際的な講義である。

現実の世界はこれら矛盾の産むダイナミズムの何処かにある、ということが理解できるはず。

 

「そんな本読んでどうするのか?」という人は読まないでよろしい。

「なにそれ、読んでみたい」と思った人にだけ得られる読書体験である。

 

まぁ、ご参考ということで。