企業の物語を引き続き、ということでこんな本を読む。
前半はいいのだ。
前身である中島飛行機の躍進と、フランスの技術者から伝えられた「パイロットの安全が第一」「操縦安定性」が、今もスバルに脈々と受け継がれているのだ、というあたりは。
思わず「おぉ!次の車はスバルか?」なんて考えてしまう。
しかし後半の敗戦後、会社を解体され、残されたメンバーで会社を切り回すあたりから、紆余曲折が続く。
中島飛行機時代からの巨額負債と、その経緯によってメインバンクから歴代サラリーマン経営者が送り込まれ、ブレーキ中心の経営、いやそれは経営ですらなく「管理」といわれる何かによって、万年低位の状態が定着してしまう。
「技術は良いものを持っているんだ」というのは、万年低位の会社ではよく出てくる言葉。
だが技術だけで会社が上向くことはなく、結局日産ディーゼルを立て直した外部経営者に基本から徹底的に鍛え直され、成功体験であった軽自動車を捨て、アメリカ市場に突っ込むという戦略上の意思決定、まさに「経営」といわれる行為によって現在のポジションが保たれている。
もちろんこの先は決して安泰ではないのだが、幸いにも保たれている中島飛行機時代からの思想が、同社を守ってくれればと祈るばかりである。
なんというか、技術や思想、歴史物語では食えないんだよ、業界のトップランナーは全然違うレベルなんだぜ、だからちゃんと商売をやんなきゃダメなんだよ。
そんなことを感じさせてくれる本だった。
まぁ、ご参考ということで。