こんな本を読んだのだが。
ビジネス系の読書が続いたので、息抜きに興味本位で購入した積読在庫を引っ張り出した。
高野氏の著作は何冊か読んでいて、「誰も行かないところに行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろく書く」という信条で活動されているノンフィクション作家さんである。
本書はまさにタイトル通りの内容なのだが、二十数年前に、アヘン栽培の世界的中心地と言われた「ゴールデントライアングル」の村で7ヶ月、ケシ栽培からアヘン採集までやり遂げるという滞在期である。
そんなにアヘンと身近な生活を送り、当然(?)高野氏もアヘン中毒になっちゃったりするのだが、その辺りはご愛嬌。
後書きの中で、高野氏自身は本書を作家活動の「背骨」となった作品と語っている。
面白いなと思ったのは、「背骨」故になかなか評価されなかったと語っているのである。
確かにその人となりを形成しているが、「背骨がカッコいい」という評価をする人はいないよね、だから自分の中の存在感の割に、あまり評価されなかったのだと。
そう思うと、誰しもそんな仕事があるんじゃないかと思う。
高野氏も若く、熱量が高い。
実際他の著作よりボリュームがある。
アヘン中毒も含め、若気の至りな「やらかし」もある。
そして二度と経験することができない一度きりの強烈な内容(いや、村は長閑なんだけどね)。
これを経験したからこそ、腹も括れて、次の冒険にも果敢に飛び出せる。
よくプロ経営者のキャリアや人材育成において「修羅場経験」なんて言葉があるけれど、キャリアの背骨を作るという意味では、本書は若き高野氏の「修羅場経験」といって良いに違いない。
「修羅場経験」なんていうと、ものすごくハードなキャリア上の出来事を想起してしまうのだが、「誰も行かないところに行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろく」でも、それは一つの背骨になりうるのだと思うと、少しワクワクしないだろうか。
仕事は究極的には「創る」ものだしね。
まぁ、ご参考ということで。