駆け出しの営業マンだった頃に受けた指導の一つに、ちゃんと「金の話をする」というものがあった。
ともすると金の話は、じつは何かと有耶無耶になりがちなので、いい歳になった今でも、普段から意識するようにしている。
ビジネスの場面において、売る側は価格を明確に(書面で)提示する。
買う方も「幾らだったら買う」と言う。
転職にあたって、年俸が幾らだったら入社すると言う。
幾らだったら採用すると言う(直接当事者同士で伝えるかは別として)。
新規事業において、明確に売価を決定する。
買い物において、幾らまでなら買うのかを決めておく。
金について、あまりにハッキリしていると、日本ではちょっと「えっ」と違和感を持たれるとは思う。
だからこそ、有耶無耶にしないことが、ビジネスに於いて信頼されるポイントなのではないかと感じている。
金の話をすることは、営業の場面においてクロージングをすることと、心境的には似ている。
「ひょっとすると断られるかもしれない」と思いながら、クロージングをすることは度胸がいる。
外資系の生命保険会社では、わざわざクロージングの練習をする研修があったくらいだ。
でも、クロージングを有耶無耶にしたって、契約が取れるようになったりはしない。
白黒はっきりさせて、駄目なら駄目で次に進めばいい。
「金の話をする」、本当に大事なことを若い頃に教えてもらったと感謝している。
まぁ、ご参考ということで。