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ついに読んでしまった…。
10年前にフォアフット(つま先着地)走法で一世を風靡した本書だが、内容をつまみ食いだけして、結局読まずに現在に至っていた。
最近読んだランニング系書籍が、いずれも本書の主張を取り入れていたことから、いよいよという形で手に取る。
海外の本というのは、なんとなく一つの主張をひたすら大げさにまくしたてるようなところがあるような気がしていて、なんとなく後回しにしてきたのだが、本書はそんなこともなく、結論から言うともっと早く読んでおけばよかったし、どこかの書評で「ランナーのバイブル」というのを目にしたのも、まさにその通りだと感じた。
メキシコの奥地に住む、ランニングを生活の一部とする種族を取材しつつ、その種族に魅せられたアメリカ人ランナーに筆者が出会い、そのランナーがその種族とトップクラスのウルトラランナーが同時に走るレースを企画し、実現する顛末を描いたメインストーリーの合間に、世界のランナー秘話や、生物学・解剖学的なランニングの見地が挟まれていくという構成。
フォアフットはトピック的に登場するが、それだけを積極的に推しているわけではない。
人類は長時間走れる肉体を獲得することで生き延びてきた進化上の仮説(学説)があり、それは当然裸足で走ることを前提に培われた能力で、余計なクッションはかえってその機能を阻害するのでは、というのが本書の主張である。
図らずも厚底シューズ全盛の2020年に読んでしまったことに因果を感じるのだが、スポーツにおける道具の進化というのは、必然的に体の使い方を変えるもの。
厚底ありきのマラソンと、裸足(にちかい)ランニングとは、もはや別物に分かれつつあるのかもしれない、と思ったり。
それはともかく、「なぜ走るのか?」と問われれば、「走るために生まれてきたから」と明快に答えてくれる本書は、すべてのランナーにとって心の支えになる一冊なのではなかろうか。
未読のランナーは是非ご一読を。
まぁ、ご参考ということで。