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未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの
- 作者: トニーワグナー,藤原朝子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2014/05/13
- メディア: 単行本
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職業柄イノベーション関連の書籍には目を通すことにしている。
小学二年生の父親としても子育てテーマには関心があり、レビューも高評価だったのでポチった次第。
著者のトニー・ワグナー氏は、ハーバード大学テクノロジー起業センター初代フェロー、ハーバード教育大学院チェンジ・リーダーシップ・グループ創設者、ビル&メリンダ・ゲイツ財団シニアアドバイザーなどの肩書きを持っており、本書で扱うテーマの著者としては資格十分であろう。
本書の構成は、何か理論立てがあって演繹的に展開されるというよりは、イノベーターと言われる人とその親へに対する数多くのインタビュー、イノベーター教育に取り組む機関への取材などから、結論的なメッセージへと積み上げられていく、という感じである。
本書の主張自体は、新鮮な驚きに満ちたものというよりは、類書で多く述べられてきたことと違いはないな、という印象であった。
小生なりの解釈で説明してしまうと、本人が夢中になれるものを尊重し、様々な機会を提供することで、その夢中を伸ばしていく、それが結果的にイノベーター育成に繋がるというイメージである。
小生としても、イノベーター育成&子育てにおいても、その辺りが「解」なのかなと思っていて、こちらの本を読んでも感じたのだが、夢中で取り組んでいるかどうかが、結局はビジネスとしての勝利に繋がるのであり、そう思える方向性をいかに見出し、伸ばしていくかが長期の戦略なのだ。
「どうする?日本企業」のレビューでは、サラリーマン経営者は創業経営者に勝てないという、三品先生の見解を紹介したが、創業経営者ほど、自らの事業に夢中な人は居ないはずである。
ちなみに、「夢中」の話はこちらのエントリーでも触れた。
そう、「努力は夢中に勝てない」のである。
だからこそ結局は、夢中になれるものを見出す支援をし、それを伸ばす機会を提供し、(結果的に、かもしれないが)なんらかの形でビジネスとして回収していくというのが、イノベーター育成なのだと思う。
余談だが、「イノベーター」に関する「使える」表現が本書にあったので、メモ的に記載しておく。
旧来のMBAホルダー的な考え方が、いかに効率的にオレンジからジュースを絞り出すか、だとすれば、イノベーター的な考え方というのは、どうやったら良いオレンジを育てることができるか、ということだそうである。
結局、わかったようなわからないような話かもしれないが(苦笑)。
まぁ、ご参考ということで。