リンクを貼る。
今年小生の周辺でポツポツ話題になり、2度ほど「読みました?」と聞かれ、また個人的に興味を持っている組織論カテゴリーなので、拝読した次第。
正直、色々否定的な意見を持ってしまう一冊であった。
本書で推奨する進化型の組織(ティール型組織)というのは、組織構成員の心理的安全やモチベーションが発揮されており、そのコンセプト自体を否定するわけでは無いものの、全ての組織や人にとって最適とは言えないだろう、というのが最初の違和感。
本書でも、全ての組織がこうあるべきと強弁しているわけでは無いが、冒頭の章で、人類の歴史と「発達心理学」的観点から、ティール型組織に至る道筋を語っており、あたかも「マルクス主義史観」を聞かされるような違和感もある。
続く章で、ティール型と著者が分析する実在組織の紹介や解説があるのだが、これまた膨大に長い。
これほどの長さを高いモチベーションで読み切る人がどれほど存在するのか疑問な程であり、であれば書籍として「読者に伝わる」という大事な効能を欠いているのではないか、という疑問も。
そして組織のあり方の問題は、そういったポリシーに見合う人材を採用し、合わない人材には辞めていただくという「重たい」プロセスも必要だと思うので、本書を読んで、「今日からウチも!」というわけにはいかない(本書でもそんなにインスタントな説明はしていないが)。
さらに言えば、「発達心理学」といっても、学術的なファクトは弱く、なんというか「ビジョナリーカンパニー」みたいな筋立てなので、実践してみて「上手くいくかもしれないし、上手くいかないかもしれない」以上の感想が無いのである。
最後のまとめや追記、解説に至る流れに、最終的にはそういった世界観を信じるかどうか、といったニュアンスが感じられ、先に読んだ方から「宗教的」という評があったのも腹落ちである。
本年に話題になった一冊であるが、一言でいえば「異質」という印象を持った。
まぁ、ご参考ということで。