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若い読者のための哲学史 (Yale University Press Little Histor)
- 作者: ナイジェル・ウォーバートン,月沢李歌子
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2018/04/26
- メディア: 単行本
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以前、「若い読者のための経済学史」という本を読んで、その関連レコメンドとして登場した一冊。
経済学史は、そこそこ面白かったので哲学史も、ということで拝読。
ちなみに本書は、本年のお気に入りであった山口周氏の著作、「武器になる哲学」で言うところの、読み進められずに断念するタイプの章立て/編集である(笑)。
それは、ギリシア哲学の創成期から順に、哲学者とその主要な思想を紹介していくというもの。
古い時代の哲学は、現代の感覚からすると「???」と思うものも多く、その歴史の長さもあって、読んでいるうちにだんだん退屈になってきて断念する、と山口氏は分析しており、そのアンチテーゼとして 「武器になる哲学」は書かれている。
とはいえ、本日の主役の本書は、「退屈になる」章立て/編集ではあるものの、哲学者ごとの興味深いエピソードや、その思想がどのように次世代へ継承されていったのか、という「流れ」を示してくれるので、それでも比較的面白く読める本だと思う。
なお、こちらで書評を書いた、ハンナ・アーレントも取り上げられているし、ちょっと変わったところだと、チャールズ・ダーウィンも登場する。
ダーウィンに関連して言及すると、哲学史において科学が与えた影響というのは大きくて、それこそ古代では、神の存在やキリスト教と連動する形で哲学に取り組まれていたのに対し、進化論によって神の存在の否定が議論されたり、人類そのものが人類を破滅させる力を持ち得た中で、善なる思想とはなにか、といった問いをもたらしてきたのである。
そのへんはこちらの書籍に詳しい。
そもそも哲学というのは、人類の歴史において研究されてきた学問の結節点にあるように思う(上位概念という人もいるが)。
なので、純粋に哲学(知識)だけを議論しても、学びは深くならず、広義の歴史、宗教、科学(テクノロジー)、経済といった領域と、クロスオーバーさせてはじめて、理解が深まるように思う。
本書に関連するリンクをと思うと、上記の通りこれだけ出てくるということは、そういうことなのかなと。
ビジネスパーソンとして比較的役に立つ部分を求めるなら、前述の山口氏の書籍を推奨するが、一般教養として哲学を抑えておきたい、という方には、本書はおすすめである。
まぁ、ご参考ということで。