人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「知的幸福の技術」 読了

リンクを貼る。

知的幸福の技術 自由な人生のための40の物語
 

 

皆さんは著者のことをご存知だろうか?

ご存知であれば、彼が普段ブログやコラム、これまでの著作で述べて来たことを纏めたような内容が本書である。

 

橘氏は特に資産運用を中心とするファイナンス系のテーマ、社会構造についての論考が多い著者で、立場的にはリバタリアニズム

リバタリアニズム - Wikipedia

だと理解している。

金融の、特にリテールの現場にいた人間として、著者の解説する資産運用の”真実”は、昔から共感するところで、個人的にウォッチしている一人。

 

宝くじや生命保険がいかに個人にとって不利な商品か、マイホーム購入がいかに不利な投資か、サラリーマンの資産運用がいかに無益か、ということをロジカルに説いていく。

例えばマイホーム購入についてはまさにその通りなのだが、それでも買いたい個人の気持ちと真っ向から衝突してしまうため、非常に”不都合”な主張でもある(小生もマイホームは買ってしまった方だ)。

 

著者も持論に自信があるにも関わらず、ずっと感情的に反発され続けているので、最早声高に主張することを諦めた、文章からはそんなトーンすら漂ってくる。

読めば納得するかもしれないし、感情的に受け入れられないと思うかもしれないが、著者の主張は、一度目にして置いて損はないと思う。

 

日本の不動産・金融の情報は、明らかに「売り手」主導の情報に偏りすぎているので、著者の主張を理解した上で、各々が判断すれば良い。

一つだけ個人的な体験を披露しておくと、金融機関在籍時代にリテールの営業をしていて、当時会社が用意したセールスツールには、「ゆとりある老後を送るためには、金融資産1億円が必要」という記載があった。

 

「なので若いうちから投資商品で資産を増やしましょう」というロジックが含まれているのだが、小生自身も「そんなの絶対貯められないやろ」と諦めていたし、のちに社会保険について学び、実際にお年を召した方々と営業活動で触れ合う中で、「1億円は明らかに不要」という結論に至っている。

いまだにそれに近いロジックが、不動産・金融の世界では横行しているのである。

 

まぁ、ご参考ということで。