まずはリンク。
昨日のエントリー
に続き、橘玲氏の著書レビューが続く。
昨日のエントリーでは、著者は色々と”不都合な真実”を書く、というような表現をしたが、本書はその”不都合”な話をとことん寄せ集めた一冊。
研究途上のテーマもあることだし、統計的なデータがベースになっていることが多く、必然的に誤謬もゼロではないはずなので、本書の主張を鵜呑みにするものではないと思うが、シニカルに世の中を見て来た人からすれば、「まぁそうだよね」という内容なのかもしれない。
「なんのこっちゃ」と思われるかもしれないので、目次の大見出しだけ引用しておく。
・⒈努力は遺伝に勝てないのか
・⒉あまりに残酷な「美貌格差」
・⒊子育てや教育は子供の成長に関係ない
はっきり言って、書いてある主張をストレートに受け止めると、これまで幾多の苦難を乗り越えながら、人類が克服しようとして来た差別を、改めて助長することになりかねないと思う。
にも関わらず、あえて本書でそういったことを主張するのは、”不都合な”情報に蓋をするのではなく、正確な情報を理解した方が、より良い判断につながるという著者のスタンスと、アファーマティブアクションに代表される、差別を是正する措置であっても、社会の資源をどこまで投入するのか、という説明責任が求められるべき、という主張があるからだ。
この辺が、はっきり好き嫌いが分かれるのではないかと思う。
小生も、考え方としては理解するし、提示されるデータも参照すべきだとは思うが、そうは言っても”理想の実現”を掲げなければ、社会は発展していかないし、正論で人は動かないと思うので、本書の主張をどこまで世に問う意義があるのか、というのは何とも悩ましいと感じている。
読めば多分、感情を害することもあると思うので、特にオススメはしないが、あえてブラックな刺激を求めたいのであれば、読んでみても良いかもしれない。
まぁ、ご参考ということで。