例によってリンクを貼っておく。
コンテナを「20世紀最大の発明」という向きもあるそうで、その惹句につられて買ったというのが手にしたきっかけ。
読んだ感想としては、「まさに仰る通り」というもの。
殆どの人にとって、コンテナというのは、「気がつけば当たり前に存在していたもの」というところではないだろうか。
この本を読んで、その歴史がせいぜい60年というのを知り、小生は軽く衝撃を受けた。
コンテナというのは、まとまった量の荷物を運ぶだけのものではない。
一つの規格であり、コンテナを運ぶための船、ガントリークレーンをはじめとする港湾設備、その先の鉄道やトラックなどの輸送オペレーションまで含めた、一体のシステムとして機能しているものである。
本書では、その成り立ちや、発展を遂げた様々な要因を、網羅的かつ綿密に紐解いていく。
コンテナによって物流が如何に進化し、その進化があったからこそ、現在の世界の繁栄や、グローバル経済が存在し得ているかを、強い説得力で語っている。
この物語には、様々な登場人物がいるのだが、なんといってもコンテナの実質的な産みの親である、マルコム・マクリーンは魅力的。
裸一貫でトラック輸送会社を立ち上げ、ヒリヒリするような積極展開でのし上がっていく様は、痛快である。
なんせ、世界で初めてレバレッジドバイアウトを実行した人間だし、そのハイレバな経営は、孫正義氏を彷彿とさせる。
その戦いはもちろん困難の連続だし、クレイジーな意思決定も多々ある(晩年は残念ながら不遇をかこつことになるが)。
しかし、その困難な戦いの中で、単に「クレイジー」と切り捨てられない要素が一つある。
それは、コンテナの持つ経済合理性なのだ。
コンテナは、それまでの物流手段に比べ、(使い方に慣れは必要なものの)圧倒的な経済合理性がある。
強烈な設備投資と、既存の港湾労働者との戦いは発生するものの、導入のメリットは明快なのだ。
クレイジーな情熱無かりせば、偉業は達成されない。
しかしその裏には、強固な合理性、経済競争における合理性が存在していたのである。
「事を為す」ことを志す人にとって、何よりも大事なことが、本書には語られているように思えてならない。
それを抜きにしても、我々が普段当たり前だと思っていることが、多くの人の血と汗の結晶であることを、強く思い起こさせてくれる。
ビジネスに関わる人であれば、一度は読んで損はあるまい。
まぁ、ご参考ということで。
ビジネスシステム
起業家の気概
経済合理性