人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

株主の変更は転職の動機になりうるか?

昨今ではM&Aも一般的になってきて、それをきっかけに転職のご相談を受けるケースも多くなってきた。
とは言え、個人的には慎重な見極めは必要かなと思っている。

大株主が変わる、親会社が変わるタイミングというのは、会社にとっては大きな出来事だが、中で働く個人にとっては、ピンチにもチャンスにもなりうる。
救済型のM&Aの様な場合は、もちろん大きな現状変更が必要だったり、就業条件の悪化が起きたり、ということは良くある。

一方で、会社自体を潰してしまう訳ではないので、優秀な人間に残ってもらうこと自体、経営サイドはウェルカムだし、人材の優劣問わず人は抜けていってしまうので、残ることで大きな機会を得る、ということは大いにありうるのだ。
もちろん無責任に良いことだらけと申し上げるつもりは無いが、そんな事も実際あるという事でご理解いただきたい。

逆に、会社が厳しい状況になって抜ける人というのは、個人的な印象だが、結構転職は苦労する様に感じている。
採用企業が良い企業であればあるほど、その人の「成功体験」を買いたいと思っているので、上記の様な転職の背景が敬遠される場面を何度か見た事があり、そう思うと、残る事とのバランスは真面目に検討されても良いものと思う。

また、会社が危機的な状況で買収されたのではなかったとしても、買収した側からすると、どの部門にどんなキーマンが居て、というのは実は事前に把握しており、そのキーマンが抜けると買収の目論見が崩れる、なんていうのは結構良くある話。
これは小生がファンドにいた経験を踏まえても、確かな事。

もちろん、だからと言って、どんな株主にも強気に振る舞える訳では無いが、その会社の事業を良く分かっていて、それこそ外に出てもやっていける様な人材だとすると、実はとても大事にしたい存在なのだ。
なので、繰り返しになるが、「出るか残るか」というのは、慎重に(というより丁寧に、という感じだろうか)見極めた方が良いと思っている。

買収する側の気持ちというのは知っておいて損は無いと思ったので、こんなお話。
まぁ、ご参考という事で。