人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「KPIマネジメント」 読了

どうもKindle音声読み上げでサクサク読書が進む。

人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント

人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント

 

 

KPIとは、key performance indicator の略なのは、当ブログ読者であれば周知であろう。

kotobank.jp

 

人材紹介の仕事をしていた昔に、経営企画のポジションを巡って、クライアントと求める人物像を協議していた時のことを、本書を読んで思い出した。 

経営企画という仕事は会社や人によって内容が変わってしまうことが多いが、大抵企業の数値管理をすることになる。

 

数値管理の中には、KPIも含まれるのだけど、ただその数字の進捗管理をするだけの人材なら、わざわざエージェントに頼むような話ではない。

当時クライアントと合意したのは、求めているのは「KPIを管理する人」ではなく、「(事業にとって重要な)KPIを見出せる人」ということになった。

 

なんらか事業に課題無しとしない中で、その形のない事業から、本当に大事な要素は何で、どうやってその推移を管理するかを発見できる人が、真に優秀な経営企画人材ではないかと。

小生もクライアントも、とても腹落ちがしたのだが、履歴書を見てすぐ分かる能力ではないので、実際にご紹介するのは苦労した(それがエージェントの仕事といえばそれまでなのだが)。

 

本書は端的に言って、その「KPIを見出し」「どうやって管理するのか」という方法について、こと細かく解説した本である。

そういう意味では、極めてニッチな本とも言えるが、実はKPIの管理というのは、経営そのものだったりする。

 

これさえ押さえておけば良いからKEYなのであって、それがわからないからみんな苦労するのだが、しかしそんなKPIというのは、現に測定可能な形で存在する。

その状態に至るための道標を、きっと本書は提供してくれるのではないだろうか。

 

経営企画としてキャリアを歩んでいる人も、コンサルティング業務、投資業務に関わる人、新規事業に関わる人にも、お勧めの一冊である。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

相手の話を真に受けない

まずはリンクを貼っておこう。

next.rikunabi.com

 

デキる人に共通化どうかはわからないが。

殆どの人たちは、自分が何を求めているかを理解していることは稀だ。

 

なので、相手の話はちゃんと聴くけれど、それが本音だとは思っていない。

本人も気づいていない本音(インサイト)を類推し、類推した本音と、表出された言葉との整合性を確認し、「あなたの考えていることは、こういうことではないですか?」という風にぶつけてみる。

 

「私が言いたかったことはそういうことなんです!」となることもあるし、「いや、違うんです・・・」という会話から、キャッチボールを重ねることもあるけれど、その辺りのプロセスを経て、合意形成ができるように思う。

因みに、小生が「類推」する時のパターンは、まず相手の気持ちになって考え(同じ風呂に入る)、次に過去の経験で知り得た同じ状況の人がどのような気持ちだったかを援用し、構成する。

 

で、合意形成をした後、その合意を踏まえた「次のアクション」をお互いに約束をするところまでやる。

ビジネスなので「次のアクション」に繋げるというのもあるが、その約束した「次のアクション」が、本当に実行されるかが、合意形成がホンモノかどうかの証明になるからだ。

 

本当に腹落ちした話と、それを具体化した「次のアクション」であれば、相手がどんなに忙しくとも、必ず実行される。

なので、実行されないということは、合意形成に誤りがあったんじゃないかな、という風に考えるようにしている。

 

裏を返せば、相手に何かの行動を期待するのであれば、腹落ちするところまでしっかり合意形成ができないと、なんだかんだと言い訳されて、先送りされてしまうのだと考えている。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「破天荒!サウスウエスト航空−驚愕の経営」 読了

 いつもの通り、まずはリンクを貼っておく。

破天荒!

破天荒!

  • 作者: ケビンフライバーグ,ジャッキーフライバーグ,Kevin Freiberg,Jackie Freiberg,小幡照雄
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 1997/07/29
  • メディア: 単行本
  • 購入: 13人 クリック: 99回
  • この商品を含むブログ (27件) を見る
 

 

冒頭申し上げておくと、とにかく長い。

電子書籍はその点、瞬間に把握することができず、気がついたら結構な時間を費やすことになった。

 

とはいえ、サウスウエスト航空には、それだけ語れるエピソードがあるのだ、ということを実感させられる本でもある。

企業におけるイノベーションの事例として、サウスウエスト航空はそれなりに有名である。

 

短距離専門で航空機も一機種に絞り、ローコストで最速のオペレーションを実行する。

少なくとも本書を読む前の小生の認識はその程度であった。

 

しかし本書を読んで、そのイノベーションは、そんな簡単なことではないことを知る。

創業期は、既得権益を有するライバルとの法廷闘争からスタートする。

 

その成り立ちゆえに、既成概念への挑戦というマインドが植え付けられ、リソースがギリギリだからこそ、上記のオペレーションが編み出され、その文化が三十年以上経った今も受け継がれている。

その苦しい時期を共に乗り越えてきたからこそ、「社員第一、顧客第二」という理念が生まれ、要所要所に、”Love”という言葉が出てくることになったのだと思う。

 

愛があるゆえに、社員の創意工夫を奨励するし、子供が失敗するのを見守る親同様、社員の失敗(創意工夫の結果としての失敗)にも寛大になれる。

それは確かにイノベーティブな会社であるが、同時に真似することが簡単ではないことも思い知らされるのである。

 

というのも、本当の意味で、社員や顧客を愛することが出来なければ、ここまでの組織を作ることは難しい。

わかりやすく言えば、これだけの取り組みは、なんらかの宗派の布教活動と大差ないように思うのだ。

 

それだけの信念と情熱、不屈の魂。

事業に取り組む人々に対して、仕事への取り組み方を問い直す一冊だと言えよう。

 

「愛だろ、愛っ」

https://mag.sendenkaigi.com/senden/201510/read-advertisement/006178.php

 

まぁ、ご参考ということで。

 

不合理な意思決定

人間は合理的なようでいて、案外そうでもない。

企業組織も合理的なようでいて、案外そうでもない。

 

企業は、特に上場企業は「説明責任」というものがあるから、合理的に意思決定されることが求められるように思うものの、それは「我々はこう思うのだ」という「意思」を説明をすれば良いのであって、「それが本当に正しいかどうか」までは、本来求められていないんじゃないだろうか。

「それは間違っている」と思うのであれば、投資家はその会社の株を買わなければいいし、消費者はその会社の商品を買わなければ良い。

 

それだけの話なのに、説明責任とは「正しさ」を追求することだと考えていて、膨大な終わらない仕事に忙殺されている人が、沢山いるんじゃなかろうか。

時に、新規事業の支援を生業にしていると、「この新規事業をやろう!」という意思決定の場面にも、「やらない」「ペンディング」という場面にも遭遇するのだが、「やろう!」という意思決定は結構不合理だし、「やらない」「ペンディング」という意思決定は、かなり合理的な判断であるように感じている。

 

きょうび、理詰めで組み立てた「新規事業」に、誰もチャレンジしたことがない新規性や、明快に儲かる収益性なんて、あるわけがない(あったら誰も苦労しない)。

不確実で、荒削りで、よくわからないから新規事業なのだ。

 

その意思決定に求められるのは、「我々はこの事業に可能性があると思うのだ」「我々はこの事業をやってみたいと思うのだ」という「考え」であって、「正しさ」では無いはずだ。

小生が新規事業が産まれる瞬間に立ち会ってきて、しばしば感じてきた、「いずれの会社でも、やると決めるときは、結構不合理な意思決定で決まるものだな」という感覚は、新規事業の事業化には「我々はこう思うのだ」という「考え」が必要なのであって、「正しさ」が必要なわけではない、ということを物語っているのではないだろうか。

 

新規事業を「やる」のであれば、「なぜやりたいのか」「やってどうなるのか」という問いが含まれた、「我々はこう思うのだ」という「考え」を明らかにすべきであって、「正しい」意思決定をしようと流れてしまうと、新規事業は「やらない」方向に突き進んでしまう。

そんなことを考えさせられた昼下がりであった。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

「コンテナ物語」 読了

例によってリンクを貼っておく。

コンテナ物語

コンテナ物語

 

 

コンテナを「20世紀最大の発明」という向きもあるそうで、その惹句につられて買ったというのが手にしたきっかけ。

読んだ感想としては、「まさに仰る通り」というもの。

 

殆どの人にとって、コンテナというのは、「気がつけば当たり前に存在していたもの」というところではないだろうか。

この本を読んで、その歴史がせいぜい60年というのを知り、小生は軽く衝撃を受けた。

 

コンテナというのは、まとまった量の荷物を運ぶだけのものではない。

一つの規格であり、コンテナを運ぶための船、ガントリークレーンをはじめとする港湾設備、その先の鉄道やトラックなどの輸送オペレーションまで含めた、一体のシステムとして機能しているものである。

 

本書では、その成り立ちや、発展を遂げた様々な要因を、網羅的かつ綿密に紐解いていく。

コンテナによって物流が如何に進化し、その進化があったからこそ、現在の世界の繁栄や、グローバル経済が存在し得ているかを、強い説得力で語っている。

 

この物語には、様々な登場人物がいるのだが、なんといってもコンテナの実質的な産みの親である、マルコム・マクリーンは魅力的。

裸一貫でトラック輸送会社を立ち上げ、ヒリヒリするような積極展開でのし上がっていく様は、痛快である。

 

なんせ、世界で初めてレバレッジドバイアウトを実行した人間だし、そのハイレバな経営は、孫正義氏を彷彿とさせる。

その戦いはもちろん困難の連続だし、クレイジーな意思決定も多々ある(晩年は残念ながら不遇をかこつことになるが)。

 

しかし、その困難な戦いの中で、単に「クレイジー」と切り捨てられない要素が一つある。

それは、コンテナの持つ経済合理性なのだ。

 

コンテナは、それまでの物流手段に比べ、(使い方に慣れは必要なものの)圧倒的な経済合理性がある。

強烈な設備投資と、既存の港湾労働者との戦いは発生するものの、導入のメリットは明快なのだ。

 

クレイジーな情熱無かりせば、偉業は達成されない。

しかしその裏には、強固な合理性、経済競争における合理性が存在していたのである。

 

「事を為す」ことを志す人にとって、何よりも大事なことが、本書には語られているように思えてならない。

それを抜きにしても、我々が普段当たり前だと思っていることが、多くの人の血と汗の結晶であることを、強く思い起こさせてくれる。

 

ビジネスに関わる人であれば、一度は読んで損はあるまい。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

ビジネスシステム

起業家の気概

経済合理性

 

スノーピーク「好きなことだけ!」を仕事にする経営 読了

リンクはこちら。

スノーピーク「好きなことだけ! 」を仕事にする経営

スノーピーク「好きなことだけ! 」を仕事にする経営

 

 

スノーピークというのは、新潟地場のアウトドアブランドのメーカーである。

ハイエンドの商品を国内外に展開している、その筋では有名な企業である。

 

家業を継いだ社長が躍進させるという意味では、先日のエントリの星野リゾートを彷彿とさせる。

当社を有名にしたのは、社長自身が年間何十本もキャンプする「ヘビーユーザー」であり、カスタマーと共に実際キャンプしながら、声を拾っているところだろう。

 

本書では、当社が現在の姿になった経緯や理由、物作りをはじめとする経営に対する考え方が、わかりやすく語られていく。

やはり、作り手自身が、作り手以前に一流の「使い手」であるというのは、確かに強いと感じた。

 

実はこれは、真似できそうでなかなか難しいのではないか。

顧客の声を聞く重要性をわかっていない企業は存在しないと思うが、作り手と使い手が同一になりうるというのは、結構レアケースだと思う。

 

B2Bのビジネスは多分ほとんどそうだし、B2Cでも、例えば自動車メーカーの社員が、自社の車を買うことはあっても、自分と違うターゲットの車を買うことはないわけで。

難しい理由のもう一つは、作り手になると、作り手の論理が先に立ちやすい、ということだろう。

 

「作り手以前に使い手」と前述したのはそこである。

好きなことに対して、使い手として絶対の自信がないと、コストとか、販売しやすさとか、作り手の論理に流されやすくなる。

 

皆、自信があれば、顧客の求めるものを作るのである。

それが徐々に怪しくなってくると、売り手の論理が幅を利かせてくるのではないだろうか。

 

過去、色々お付き合いした企業でも、「どうも内輪の論理が先行しているな」という場合、大抵びっくりするほど顧客を知らなかったりしたものである。

そんなことを考えさせられた一冊であった。

 

アウトドアがお好きな方は是非ご一読を。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

 

年寄りのコンプラ意識は困りもの

今日は娘の幼稚園の卒園式であった。

娘が通っていた幼稚園は、近隣ではまぁまぁの評価だったし、実際に良い経験はさせてもらったとは思うものの、どうにも時代錯誤なところは(どこの幼稚園も似たり寄ったりのようだが)散見された。

 

今時B4の書類とか、コミュニケーションは基本的に電話とか。

男の子はサッカーで、女の子はバレエとか。

 

他にも色々あるし、聞いている限りだと、ここでは書けない運営上、経営上の問題もあったようだ。

70代をトップとする家族経営で、感覚が30年前くらいで止まっているのだろう。

 

もはや是正する必要性も感じていないし、周りも何も言わないに違いない。

それに対する処方箋を小生は持たないが、そういう方々とは、関わらないようにする以外にないのだろう。

 

オチのない話で恐縮だ。

まぁ、ご参考ということで。