人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

緩やかな社会

積読在庫消化。

 

Kindle日替りセールで購入。

中高年の引きこもりが社会課題であることは、それなりに長生きしている人はよくご存知に違いない。

 

8050問題なんていうのもあるし、関連書籍も読んだけれど。

本書は、引きこもり問題に長年携わってきた医師で、著作も多数ある。

 

医療研究よりジャーナリズム寄りと認定されて厚生労働省の政策からは干されてしまった、みたいな述懐があるけれど、なかなかに説得力のある解説である。

引きこもりは病気ではない、という基本スタンスで、家族はどのように向き合い、乗り越えていくのか、ということが丁寧に展開されていく。

 

家族がその対話をできてこなかったから引きこもりになったのだろうし、そういう意味では著者が提唱する対話アプローチも、実践のハードルはありそうだなぁと余計な心配をするけれど。

著者は末尾で、引きこもりを容認する社会になれれば、むしろ引きこもりは減っていくはず、と主張する。

 

働き蟻の二割が遊んでいるという話ではないけれど、人生のどこがで引きこもり状態になっても、それを隠匿するのではなく、社会が受け入れ、また社会に帰っていく。

そういう社会を目指すべきではないかと。

 

なるほど、この歳になるとわかるけれど、人生でバリバリ働ける時期なんていうのは、いろいろな意味で極々限られている。

そういうこともよく理解し、多くの人が生きやすい社会にしたいものである。

 

まぁ、ご参考ということで。