人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

想いが社会を変える

先日「ロマン・ソロバン・ジョーダン」を書いたので、出典元の、くらたまなぶ氏の本を読む。

 

文庫版、電子書籍版とちょっとずつアップデートはされているのだけれど、原著は2000年代初頭なのでちょっと前。

くらたさんはリクルートで物凄い数の情報誌を創刊しているのだけれども、それを肌感覚で知っているのは小生のような40代以上になってしまったかもしれない。

 

今では考えられないくらいのハードワーク、今だとセクハラを気にして踏み込めない開けっぴろげな会話が展開されるけれども、本当にエキサイティングな事業エピソードと、本質的な内容が「これでもか」と詰め込まれている。

そして例え話もとても上手。

 

事業を作るのは年賀状を送ることと同じ、なんてところから始まる。

みんな「どんな年賀状にするか」なんて考えるけど、違うんだと。

 

まず、送る相手が誰で、どんな人で、どんな一年を過ごしたのか思いを巡らせる。

そして自分の一年がどうだったのか、どんなメッセージを伝えたいのかを考える。

 

で、それに最適な選択肢として年賀状を構成するんだ、みたいな。

本書前半がそんなメソッドで、後半がエピソード集。

 

とらばーゆ」創刊のエピソードがグッとくる。

滑り出しは順調だったものの、当時の女性向け求人は事務職ばかり。

 

なんとかならないものかというタイミングで、ある自動車ディーラーが営業職で募集をかけ、応募が殺到。

その女性達が実績を作り、道を切り拓くことで、他の自動車ディーラー、不動産会社など他の業界へと求人が広がり、着実に社会が変わっていく。

 

こういう営みで今の社会は形作られてきたんだな、最初は一人の想いからなんだなと、深く感動する。

とても良い本なので、是非ご一読あれ。

 

あ、ちなみに現在は「ロマン・ソロバン・ヒューマン」と改称しているそうです。

まぁ、ご参考ということで。