人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「職業は武装解除」 読了 〜凄い人がいたもんだ〜

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職業は武装解除 (朝日文庫)

職業は武装解除 (朝日文庫)

 

 

 

何かのメディアで著者のことを知り、最近立て続いて読んでいる国際問題関連書籍の一環として購入。

何でこの分野にアンテナが立っているのかは、小生自身もわかっていないのだが、日本が進むべき道、活躍できる機会を探るという意味で、新規事業開発と同じ文脈で捉えているのかもしれない。

 

本書は、著者の生い立ちと「武装解除」という役割を紛争地で提供するに至った経緯、そして現場では何が起こっているのかといった内容を、豊富なエピソードとともに解説してくれる。

平和な日本では考えられないような厳しい現実と、当事者だけでなく支援国の利害が複雑に絡み合う国際協調とがない混ぜになった現場、という印象を持った。

 

武装解除と一言で述べても、問題はそう簡単ではない。

兵士として戦ってきたアイデンティティやステータスと武器が紐付いていたり、戦時責任を問われたくないが故に解除に応じない実利の問題だったり、復讐を恐れる恐怖心だったりが存在するわけである。

 

そういったことを紐解きながら、交渉や職業訓練といった施策を展開していくのが武装解除

なんとも凄い職業があったものである。

 

本書でもう一つ面白いと感じたのは、著者自身が武装解除を職業にすべく、ゼロからその道筋を作ってきたのだ、というキャリア的な視座を与えてくれること。

ルワンダの虐殺を高校生の時に知り、国際貢献を志し、世界の公的機関で働くためには大学院の学歴が必要と考える。

 

大学院を出るためには独自性のある研究テーマが武器になるはず、ということで行き着いたのが武装解除

なので当然、専門家も居ないし、それを職業にしている人も居ないところからのスタートである。

 

こういうキャリアの持って行き方もあるのだ。

そのためには取り組みたいテーマへの興味・情熱が必要になるのだけれども、それさえ確かなら恐れることはない、そんなメッセージを本書は伝えてくれるように思う。

 

まぁ、ご参考ということで。