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新規事業開発というのは、まぁサービス設計なわけだけれど、そのサービス設計において、サービス倒れにならない知恵を仕入れたく、購入した次第。
宮崎氏の著作は今回が初めて。
宮崎氏は、メートル・ドテルという、フレンチレストランにおけるサービス責任者の仕事に取り組んできた人で、サービスの世界ナンバーワンの称号を獲得したこともある人。
現在は複数のレストランでメートル・ドテルとして働きながら、サービス設計のコンサルティングを行う会社を経営しており、本書では、その考え方の一端を紹介している。
実は小生、20代の頃に個人経営のフレンチレストランに出入りしていたことがある。
客として通っていたところ、オーナーと仲良くなり、店の片付けを手伝ったり、飲みに行ったりする中で、レストランでのサービスのあり方とか、マーケティングのイロハを教えてもらったのである。
ほとんどの方の認識と違うと思うのだが、ある程度の単価のフレンチレストランでは、サービス側の動きがビジネスの勝負を決めると言っていい。
アップセル・クロスセル、顧客満足度向上、リピーターの獲得などの売上貢献部分だけでなく、顧客対応を通じた厨房を含むオペレーション改善にも関わるのである。
それはまた何処かの機会で述べたいが、本書でもその辺りのエッセンスが語られていて、冒頭から興味を持って読み進めることができる。
面白いなと思いながら読み進めていると、イントロの盛り上がりのまま終わってしまい、「あぁ、終わっちゃうんだ」という印象。
「何を」「どうすれば」利益を生むサービスになるのか、という方法論を期待すると、ちょっとそこは肩透かしかもしれない。
サービスという定型化されていない分野ゆえに、なかなか体系だった説明は難しいのかもしれない。
とはいえ、「ちゃんと高く売る」そして「それを納得感を持って成立させるために、どう心を砕くのか」というマインドのところは伝わってきたと思う。
昨今、生産性向上の話題が喧しい。
生産性は(付加価値÷投下資本)で計算されるけれが、労働時間削減などの分母の話ばかり目にする。
しかし、本書で伝えるように、「ちゃんと高く売る」が実践できれば、分子が大きくなるので、生産性は大いに改善されるはず。
本書で紹介される、数百円のパイナップルを数千円の単価に仕上げるメートル・ドテルの技、意識しておきたいものである。
まぁ、ご参考ということで。