まずはリンク。
著者の成毛氏は元日本マイクロソフト社長で、ネット上でも論客として有名なあの成毛氏である。
その成毛氏が歌舞伎とは、という意外性もあったし、レビューも高かったので、思わず手にしてしまった次第。
日本の武道、武術に関わる人間としても、同じ日本文化である歌舞伎についての知見は抑えておきたいという動機もある。
ちなみにテレビで見た以外に、生で歌舞伎を鑑賞したことはない。
本書では、成毛氏が歌舞伎の奥深さ、魅力を思う存分語るとともに、ビジネス的な観点での生かしどころも述べるという体裁である。
とはいえ、成毛氏自身も本書で書いているが、即物的に役に立つかどうかを考えては、こういった趣味のものは続かない。
あくまでも教養の一つとして、プラスになることもあるかもしれないと考えるのが妥当だろう。
小生も、合気道をやっていて、ビジネスの入り口部分で役に立った経験は数あるが、役に立てようと思って続けているわけではなく、それと同じということか。
しかし、成毛氏の歌舞伎に対する愛情には圧倒される。
本当に好きな人が、思う存分その対象について語る姿というのは、読んでいて清々しい。
成る程なと思わされたのは、やはり歌舞伎の楽しみ方である。
基礎知識として、筋や意味を理解していた方が良いとしても、台詞回しまで理解する必要はないと成毛氏は説く。
歌舞伎公演自体は、「フェス」のように思い思い楽しむもので、フジロックの海外アーティストが歌う歌詞がわかっていなくても楽しめるように、歌舞伎のそれも、七五調の台詞回しのリズムに酔えばいいと言う。
小生も、それならば楽しそうだと思わずにはいられない。
残念ながら、歌舞伎座公演は、有給を取得しなければ観られないスケジュールなのだが、是非一度と思ったし、そう思ったということは、本書の狙いは成功したということであろう。
ご興味のある向きは是非。
まぁ、ご参考ということで。