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角川インターネット講座 (1) インターネットの基礎情報革命を支えるインフラストラクチャー
- 作者: 村井純,砂原秀樹,ヴィントン・グレイ・サーフ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
- 発売日: 2014/10/24
- メディア: 単行本
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リサーチの必要があり、しばらくは通信・ネットワーク系の書籍をひとさらいする。
村井純先生といえば、日本のインターネットの礎を築いた人、というのは理解していたが、まとまった著作を読むのは初めてである。
タイトルの通り本書では、インターネットの成り立ちや技術史、今後の展望についてが、まさにこれ以上の適任者はいないであろう、村井先生自身によって解説されている。
21世紀を生きる人間としては、もちろん常識の範疇に入ることもあれば、初めて聞くエピソードなども織り交ぜられており、単純に読み物として面白い。
世界中をあまねく繋ぐネットワークを、民主的に構築していく試みは、あたかもスペースオペラの中に登場する、宇宙連合の歴史を見るかのようである。
個人的に特に印象深かったのは、インターネット黎明期における日本の果たした役割。
アメリカで始まったインターネットだから、もちろん英語をベースにした技術・標準だったわけだけれども、そこに村井先生をはじめとする日本の先人たちが、日本語での実装をアメリカに働きかけ、形にしていく。
しかし、この動きがなければ、その後に続く各国の多言語化対応も、なし得なかったというのだ。
もちろん、みんなが英語を使ってコミュニケーションをしていた可能性もないわけではないが、英語に閉じたインターネットでは、ここまで普及しなかったに違いない。
受け入れたアメリカのおおらかさも素晴らしいし、働きかけて開発した日本の先人たちも本当に意義のあるチャレンジを行ってくれた。
先人たちの偉業には頭が下がるのだが、それ故に今の日本に生きる我々も、その偉業を誇りとして、世界に何ができるのかを問われていると思うのである。
ふと、20代の頃に最も繰り返し読んだ本を思い出す。
これはこれで感動の一冊なので、ぜひご一読いただきたいのだが、旧ソ連の強制収容所で獄死した一介の市民が、その遺書の中で、日本人は東西の架け橋となる能力と責務があると述べるくだりがある。
まさに同じことが、戦後70年を経た今も、期待されているのではないだろうか。
まぁ、ご参考ということで。