人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

組織ピラミッドの傾斜

よく、「フラットな組織」なんていう表現があるけれど、反対は「ピラミッド型組織」だろう。

他にはオーナー企業に代表されるような、「文鎮型組織」なんていうものもある(オーナーとそれ以外、という構造だ)。

 

それぞれの組織の良し悪しは色々あるが、それなりの規模感の会社であれば、普通はピラミッド型組織のはずである。

色々な会社に所属した経験から言わせてもらうと、同じピラミッド型組織でも、傾斜のキツい緩いがあると思っている。

 

階層構造が存在するのは同じなのだが、上位者の「偉さ」が、キツいか緩いかで全然違うのだ。

キツい組織は役員が遥かな高みに鎮座しており、下々の人間が目を合わせるのも憚られるような世界。

 

そうなると、役員の不興を買うような事態は、組織として最も避けなければならない力学構造になり、間をとりもつ中間管理職の活動量などが、ものすごく大変になる。

そういう世界で、ボトムアップの提案を実現するのは、難易度が高い取り組みであるし(不可能とは言わないが)、現場の声や、会社にとって不都合な情報が、組織の上層部に伝わりにくくなる。

 

そういう組織というのは、事業が上手くいっているうちはいいと思うのだ。

組織のトップが偉い方が、頑張って出世しようというインセンティブになるし、意思決定から実行までのスピードも早いのだ(余談だが、傾斜がキツい組織は、上席がとても偉いので、社内の飲み会だと上席がたくさん払ってくれる傾向にある)。

 

しかし、事業が苦しくなってきたり、新規事業に取り組まねばならない、という状況にシフトしてくると、その組織構造は足かせになる。

事業を苦しくしている真の原因追求に時間がかかってしまうし(結局明らかにならないことだってある)、新規事業についても「役員が理解できる、役員好みの」提案しか実現されない。

 

イノベーションの推進には、単なる制度や仕組みだけでなく、根本的な組織構造に手を入れないと、なかなか成果が出ないということを、昨今強く実感している。

簡単に解決できる話ではないのだが、そこまで狙って取り組めないと、制度も仕組みも数年のブームで終わってしまうと思うのだ。

 

まぁ、ご参考ということで。