まずはリンク。
先日の「再起動 リブート」を読んで、実録経済系のシビアな話を引っ張り出してきた、という感じだろうか。
再起動 リブート―――波瀾万丈のベンチャー経営を描き尽くした真実の物語
- 作者: 斉藤徹
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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山一證券の破綻と、その後の精算業務、(社内関係者向け)調査報告業務に(ほぼ手弁当で)携わった12人のストーリー。
山一證券の破綻は、小生が大学生の頃、さあ就職活動が始まろうか、という矢先のことで、鮮明に記憶している(そんな折に銀行に入ろうとするのだから、小生も相当変わり者なのかもしれない)。
経済に関心や理解が深まりつつあった時期だから、総会屋への利益供与事件とか、「飛ばし」とか、「世の中すごいな」という印象も持ったし、いま振り返ると懐かしい話題でもある。
読み進むと、「飛ばし」に至った経緯が解明されているのだが、反社会勢力への利益供与とか、損失補填とか、現在では100%ありえない実態のオンパレードで、たかだか20年ちょっとで、社会というのは大きく変わるものである。
不正が起きた原因というのが、結局は「理より情」を優先する組織力学と、「根拠なき楽観」にあり、「やっぱりそうか」という印象を持った。
ということで、次は「失敗の本質」を読むことにしている。
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08/01
- メディア: 文庫
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「しんがり」の12人は、内部監査セクションに在籍していて、職務として経緯を明らかにせねば、という使命感はあったものの、どちらかというと、自分達の人生を捧げた組織が、何故破綻しなければならなかったのか、明らかにしなければ前に進めなかったのだと思う。
その組織人としての心情は、大変に切ないものがある。
ところで、なるほどね、と思ったエピソードが一つある。
「飛ばし」遂行のために、簿外取引を管理していた人間が必ず存在したはずだ、という推測を調査チームは立てる。
それだけの高度な実務が遂行でき(=経験も役職もそれなり)、経営の中枢に近く、口が固くて、普段の仕事が周りから見えない人物は誰か?と問うた時、調査チームメンバーに、一人思い浮かんだ人物がいた。
当該人物に差し向かいで問い質すと、まさにお目当ての張本人であったとのこと。
不正とは言え、組織内で高度な業務を遂行できる人物は、いつも一握りなのだなと、変に感心させられた。
もちろん、その高度な能力を、不正行為に費やしたというところに、組織の罪深さと切なさがあるわけだが。
組織人であれば、本書を読むと、きっと心に届く何かがあるのではないだろうか。
まぁ、ご参考ということで。