人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「人生の教養が身につく名言集」 読了 〜大概のことは言い尽くされてきたんだな〜

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人生の教養が身につく名言集 (単行本)

人生の教養が身につく名言集 (単行本)

 

 

出口氏の本は初。

読書家であり、大サラリーマンであり、起業家でもある出口氏の著作は前々から興味があったのだが、Amazon Unlimitedにラインナップされていたので、これを機会に拝読。

 

内容はタイトル通り。

出口氏の広く深い読書歴と、古典・歴史への造詣は唸るばかり。

 

これをきっかけに原著をあたるもよし、これ単体で人生の支えにするもよし、という本である。

「〇〇に役立つ〜」みたいに、テーマ別に整理されているのもわかりやすい。

 

それにしても、広く古典を拐えば、21世紀の現代においても役立つ言葉は言い尽くされてきたんだなと実感する。

問題は、歴史や古典から学ぼうとしない、真剣に受け止めようとしない、現代人の我々のスタンスなのだろう。

 

二宮尊徳の「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉も取り上げられているのだが、新規事業の仕事で口を酸っぱくして小生が語っていることは、だいたい包含されちゃってるのよね…。

つくづく反省である。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」 読了〜できるかな、やってみようかな〜

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著者は、日米のマイクロソフト社に在籍し、伝説を作ったと言われるプログラマー

そんなプロフィールを持ち、アルファブロガーとして多様な活躍をされる方の仕事術ということであれば、いやが応にも期待が高まるというもの。

 

コンセプトはすごく簡単。

最初の2割の日程で8割終わらせるという、完全スタートダッシュスタイル(著者は朝4時から仕事を始めるそうだが、朝が早いことはそれほど大きな問題ではないと思う)。

 

で、納期を早めるかというと、それはしない、というのが面白い。

どんどん仕事が降ってきてしまうから、というのもあるが、要は余力を常に持っておくことが、効率化では凄く重要、という趣旨である。

 

ちょっとびっくりなのは、最初の2割の日程中、仕事の波が来れば徹夜も厭わないというから、それはかなりの徹底ぶりである。

しかし、必要(納期)に迫られずに徹夜などできるものであろうか?

 

その疑問に対する答えが、本書の後半にかけて示されていく。

単なる仕事上のテクニックであれば、おそらく本書は半分のボリュームで良い筈だ。

 

後半で著者から語られるメッセージは、小生なりの表現を許させて貰えば、「頑張らなければ取り組めない仕事はするな」というところだろうか。

やり出したら面白くなって思わず徹夜してしまうような、そういう夢中になれる仕事を選べ、ということ。

 

思わず、BEAMS設楽社長の「努力は夢中に勝てない」という言葉を思い出す。

gqjapan.jp

 

夢中になれることを選んで仕事にすることは、色々な意見はあると思うのだが、意思なく仕事を続けていても、夢中になれる仕事が降ってくるとは思えないから、やはり自分から夢中になれる仕事を求めていくしかないのだ、とは思う。

本書の後半で語られる、著者の熱いメッセージは、印象深く、心に残るものであった。

 

スタートダッシュの仕事術は、小生のように人と会ってディスカッションするような仕事では限界があると思うが、それでも資料作りとか企画立案とか、モノづくり的なタスクであれば、大いに活用できると思う。

夢中になれる仕事選び、モノづくりでのスタートダッシュ、両面でチャレンジしてみたい。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

祝、1000エントリー。

4年前に始めた当ブログですが、本日の本エントリーで1000本になりました。

「本日の更新はお休みします」的なものもカウントされてのことなので、実態としてはもう20本くらい少ないのかもしれないですが、これもひとえにお読みいただける皆さんが居てのこと、この場を借りて深く御礼申し上げます。

 

コンサルタントの基礎訓練として、書くことを抵抗なくできるように、という「走り込み」的に始めたわけですが、ほぼ全営業日、継続的にアップし続けることができました。

ブログ自体は、小生の人生の中で何回目かのチャレンジでしたが、こんなに続いたのは初めてです。

 

もともとなにかを継続することは苦手ではなかったのですが、40歳が近くなり、継続するテクニック自体をモノにしつつあった、ということと、やはり日々インプットが多い環境に居るというのが、これまでと違ったところかもしれません。

1000本のエントリーとなると、月一回の更新しかしない人からすれば、一生分以上の数を書いてしまいましたので、遠くに来たな、と感慨深い一方、毎日に何本も書かれる方もいるので、慢心することなくできる限りのアウトプットを続けていきたいなと思う次第です。

 

ちなみに、アクセスの動向なんかも軽く見ているのですが、未だに読まれ続けているエントリーがこちら。

dai19761110.hatenablog.com

 

友人知人経由で直近でご評価頂いたのがこちら。

dai19761110.hatenablog.com

 

そのほか、思い出深い記事もありますし、読み返すと気恥ずかしいものもありますが、引き続き転職・新規事業を軸に、皆さんにとって意味のあるコンテンツを書き続けていきたいと思う次第です。

変わらぬご愛顧のほど、宜しくお願い申し上げます。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

 

ニーズの確からしさ、実現性の確からしさ、発展性の確からしさ

新規事業のお手伝いをするときに、常に意識していることがあって、それがタイトルの「ニーズの確からしさ」「実現性の確からしさ」「発展性の確からしさ」なのである。

イデアを審査する際に何処を見るかという論点であり、伴走している事業案を役員会に通すために、潰すべきポイントでもある。

 

「ニーズの確からしさ」というのは、簡単な話「それ、売れるの?」というツッコミに対する答えである。

この点を、手触りが感じられるレベルで把握し、それを臨場感のある形で表現し、なおかつ一定の規模と成長性があることを証明しなければならない。

 

「実現性の確からしさ」というのは、「それ、出来るの?」という疑問に対する答えである。

事業提案において机上の空論は許されないし、Buzzワード(AIとかIoTとか)を引っ張り出してきて、それを噛ませれば何かできるはず、という希望的観測ではなく、「ほぼ出来る」というレベルで証明しなければならない。

 

「発展性の確からしさ」というのは、前の二つには劣後するが、「それ、意味あるの

?」という懸念に対する答えである。

殆どの事業提案は、最初から大きな売上が見込める訳ではなく、一旦立ち上げた先の構想や、本業とのシナジー、社会的意義など「その先」を示していかないと、なかなか社内の協力が得られないため、その発展性を説いていかねばならない。

 

新規事業開発においては、常にこの三点、「ニーズの確からしさ」「実現性の確からしさ」「発展性の確からしさ」が問われていると考えている。

もちろん、競合優位性とか、収益性とか、他にも気をつけなければならないことはあるのだが、小生の経験上、まず潰さなければならないのが、この三つであることが多いのだ。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

転職先を告げずに会社を辞める方法

長く転職エージェントをやってきたけれど、日々お客様に教えていただくことだらけだ。

今日の話は、実際にお手伝いした転職希望者の方から教えていただいたこと。

 

今、勤務している会社に退職を告げると、「では次にどうするのか」という話に必ずなる。

こちらの身を心配して聞いてくれる人もいるが、そうではないこともある。

 

小生が初めて転職した際には、エージェントから、行き先を絶対に言ってはいけないと言われたのだが、その時は、若手銀行員が転職先を明らかにしたせいで、本社経由で転職先に圧力がかかり、転職がパーになった上に若手銀行員も冷や飯を食わされたエピソードを聞かされた。

と、言われつつも、「鬼」と言われた上司に「育ててもらった恩を忘れて、行き先も告げずに去るのか?」と凄まれて、転職先を告げてしまった過去が、小生にはある(苦笑)。

 

圧力をかけてまで引き止めるほど優秀な人材ではなかったので、小生の場合は何のトラブルもなかったけれど、人事に説明する上で必要なのか、嫉妬の類なのかはわからないが、善意ではなくしつこく聞いてくる人もいるので気をつけたい(ちなみに、「鬼」の上司はとても良い方で、故に当時の小生は答えたし、今も年賀状のやり取りだけは残っている)。

さて、余談が長くなったが、冒頭の転職希望者の方は、業界では有名なスーパーブラック企業にお勤めだった方。

 

勤務状況がブラックというより、「北朝鮮」と揶揄されるほどオーナー支配が強く、社員の行動監視は日常茶飯事。

その方の転職理由も、同僚がFacebookに退職報告をアップし、その投稿に「いいね」を押したら「全くいいねじゃない!!」とオーナーが激昂し、「いいね」を押した社員全員がヒラに降格させられるという事件を受けてのことで、転職先を告げようものなら、何をされるか分かったものではない。

 

かといって嘘を言っても後々角が立つし、社会保険の手続きもあるしで悩ましい。

小生も心配になって、「なんて言いましょうか…」ときいたのだが、その回答には、なるほどその手があったかと唸らされてしまった。

 

それは、「現在、複数の会社から内定を頂いており、決めかねている状況です。もうしばらく考えて、最終的に落ち着いたらご報告します。」というものだ。

それでその場は逃げ切り、引き継ぎを済ませ、有休消化に入る頃には、次の行き先なんて誰も興味がなくなっているのである。

 

昨今は求人も活況だから、実際にそんなことを言っても変ではないし、そういう人も沢山いる。

複数オファーをやりくりして、複数の企業で働くことすら不思議ではないご時世である。

 

蛇足だが、この方法の優秀なところは、実際にありそうなシチュエーションで逃げながら、それ以上の追求を許さない巧みさと、退職意思表示の緊張感が高い瞬間さえウヤムヤにすれば、みなすぐに興味を失うという、深い人間心理の洞察にある。

あまりみんなが使うと効果が落ちてしまうのかもしれないが、退職意思表示の強いプレッシャーに悩んでいる人も多いと思うので、あえて記事にする。

 

退職者は現勤務先に、次にどこに行くかを述べる義務は本来なく、職業選択の自由もあるし、弱気になる必要はないのだが、そう四角四面にはいかないのが浮世の習い。

当たり前だが、ご利用は計画的に&自己責任で。

 

まぁ、ご参考ということで。

「デザインが日本を変える」 読了 〜これを読んだらマツダ車オーナー〜

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デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す (光文社新書)

デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す (光文社新書)

 

 

クルマ好きであれば、昨今のマツダの躍進を知らぬものはないし、大概のビジネスパーソンも伸びていることはご存知なのではないだろうか。

その躍進の言動力の一つが、同社のデザインなのだが、そのトップが語り尽くした本ということであれば、クルマ好きとしては読まずにいられない。

 

マツダというメーカーは浮き沈みの激しい会社で、良い車をぼちぼち出すのだが、業績が良くなったり悪くなったり、見ていてハラハラするメーカーだったのだが、著者の前田氏がデザイン本部長に就任してからのこの10年というもの、次世代の技術開発が奏功したこともあり、力強く成長を続けている。

本書では、マツダのデザインコンセプトである「魂動デザイン」がいかに生まれ、組織が変わり、会社が進化したかが語られる。

 

続けて、チームメンバーのインタビューで、その進化が多角的に語られ、最終的には日本のものづくりの未来、提言にまで発展するという内容。

マツダの躍進はビジネスのエピソードとして充分に面白いし、前田氏のプロとしての拘り、組織論などは、経営者の意見としてひとかどのものである。

 

「今の日本のメーカーは安直にものを作りすぎ」というのは本当にそう思うし、「それが日本のものづくりをダメにした」と言われると、なるほどと唸らざるを得ない。

これだけのビジョン、組織としての熱量、日本発の自動車メーカーとしてのアイデンティティを嫌という程語られてしまっては、絶対に次のクルマはマツダ車にせざるを得ないと思う(笑)。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

「稼ぐまちが地方を変える」 読了 〜新規事業の関係者も是非〜

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稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

 

 

この本は良かった。

Kindleのセールで見て、レビューが高かったのでポチった。

 

著者の木下斉氏というのは、大学生の頃から地域活性化に取り組んできた筋金入りの事業化である。

ja.wikipedia.org

 

その木下氏が、「地方創生」のエッセンスを余すところなく伝えるという内容である。

「地方創生」とカッコ書きにしてしまったのは、地域活性化の各種活動も含め、言葉は踊るけれども結局なにを目指すのかのビジョンもなく、人も動かない、という事例を小生も見聞きしていて、木下氏の現場叩き上げとでも言うべきエッセンスを読んでしまうと、人口に膾炙する地方創生も、カッコ書きのバズワードだな、と思ってしまったから。

 

それくらいインパクトのある書籍である。

地方創生に関わる人だけでなく、新規事業の関係者にも是非読んでいただきたいなと思った理由は2つある。

 

ひとつは、昨今このテーマを扱う新規事業というのが多く(上から降ってくることもある)、地域がどんな課題を抱えていて、どのような解決策があるのかを知れるからだ。

もうひとつは、木下氏が取り組んできたことと、新規事業に携わる人間が持つべき覚悟、スタンス、動き方が同じだから。

 

数人でも良いから仲間を募る。

全員の賛成を求めない。

 

自分の頭で考える。

自ら汗をかく。

 

楽しさと利益を両立させる。

10年後を見通す。

 

行政を所属企業と置き換えれば、おそらく地域活性化も新規事業も同じ。

新しいことを始めるのだから反対は必ずあるし、それを突破する方法は必ずある。

 

そういう勇気も与えられるし、覚悟も求められる一冊。

ちなみに、巻末に「まちを変える10の覚悟」という付録があるのだが、その1は、「行政に頼らない」である。

 

深く考えたい一文である。

※参考リンク

dai19761110.hatenablog.com

 

まぁ、ご参考ということで。